バイク/バイクのモデル紹介

現代の奇跡 ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT(2ページ目)

イギリスで生まれ、インドで育まれた伝統あるメーカー ロイヤルエンフィールドが渾身の一台を投入。その乗り心地は、大型化か進む現代バイクへのアンチテーゼのよう。

田中 宏亮

執筆者:田中 宏亮

バイクガイド

とても現代の最新モデルとは思えない
乗り味までもがクラシカルな一台!

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT

スタンダードなカフェレーサーのポジション例

スタンダードなカフェレーサーのポジション例

カフェレーサーというと、セパレートハンドルにバックステップを備えたネイキッドバイクであることがマストです。このコンチネンタルGTも昔のカフェレーサースタイルに忠実なフォルムとされているのですが、それだとポジションが前屈になり、かなり窮屈な姿勢を強いられます。やはりフィジカルがしっかりとした若い頃に乗るスタイルというイメージが否めません。なので、私はこのモデルに乗る前から「長時間乗ったりしたらシンドそうだな」と思っていました。

コンチネンタルGTのセパレートハンドル

コンチネンタルGTのセパレートハンドル

ところがいざ乗ってみると、ポジションは想像以上にニュートラルでした。確かにハンドルはセパレートになっているのですが、その設置部分はというと、トップブリッジの上にあるのです。カフェレーサーカスタムの場合、セパレートハンドルはトップブリッジの下側に取り付けられるのですが(それゆえ前屈みな姿勢でしかハンドルが掴めない)、コンチネンタルGTの設置場所だと、オーソドックスなバイクのポジションと大差ありません。加えてバックステップも想像していたほど後ろ側に付けられてはいないので、思いのほかラクなポジションが好印象でした。

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT

ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT

早速乗ってみたところ、「あなた、本当に最新モデル?」って聞きたくなるほど、シャープさとは縁遠い走り出しです。普段ハーレー関連の取材をする身としてこれを形容するなら、ひと世代前のエヴォリューション スポーツスターのよう。近代モデルでは考えられないエンジンの振動があり、不快なものどころか逆に心地良くさえあります。キレはないけど、1990年代以前のバイクのような独特の味わい深さを持っており、“飛ばさない快感”を楽しめるバイクです。

ハンドルとステップによるポジションは思いのほかニュートラル。足まわりも比較的しっかりしたつくりに。

ハンドルとステップによるポジションは思いのほかニュートラル。足まわりも比較的しっかりしたつくりに。

モーターサイクルとしての挙動は申し分なし。前後18インチのスポークホイールに高性能ブレーキにサスペンションと、ニュートラルなポジションと相まって現代の道路事情を考慮した作り込みになっています。エンジンの振動により後方が確認できないほどミラーをガタつくなどちょっと困った側面もありますが(近年中に改善予定だそう)、スピードではなく乗り心地や雰囲気を楽しむバイクであることを考えると、逆にそこが面白くもあります。

往年のカフェレーサーの伝統を受け継ぐフューエルタンクやシートカウルのデザインなど、見どころは尽きない。

往年のカフェレーサーの伝統を受け継ぐフューエルタンクやシートカウルのデザインなど、見どころは尽きない。

ちょうどニーグリップするところがヘコんだフューエルタンクにソロ仕様のシートカウル、長く突き出したメガホンマフラー、ルーカステールランプ、そしてブラックアウトされた前後のフェンダーエンドと、昔のコンチネンタルGT……というよりは、ブリティッシュ カフェレーサーへのオマージュとも言えるこだわりようです。実際に自分がこのバイクを買ったとしたら、あんなカスタムやこんなカスタムを……と、ついつい夢想してしまう、往年の名モデルをリスペクトした素晴らしいモデルだと思います。

なんとクラクションのホーンがふたつも!

なんとクラクションのホーンがふたつも!

びっくりしたのが、クラクションの音がやたらと大きいこと。バイクのクラクションってか細くて頼りないイメージがあるんですが、鳴らした本人もちょっとびっくりするほどの大きさ。なぜだろうと見てみると、なんとふたつも付いているじゃありませんか。大抵のバイクはひとつだけなんですが、なぜ……と思い、広報担当者に伺ったところ、激しい騒音が行き交うインドという国だから、ということでした。確かにアジア諸国の道路環境は日本とは比べものにならない激しさなので、中途半端なクラクションじゃ気づいてもらえない、ということなのでしょう。お国柄が垣間見えたディテールでした。

1965年にデビューしたモデルと同じエンブレム。

1965年にデビューしたモデルと同じエンブレム。

近年、モーターサイクルはますますその性能を高めており、より快適なバイクライフが送れるモデルが次から次へと輩出されてきています。しかしこのコンチネンタルGTは、そんな時代の流れに逆らうかのような、古き良き時代の姿をそのまま再現したようなモデル。他メーカーの最新モデルと乗り比べる機会があったら、はるか昔のモデル化と思えるような乗り心地に驚かれることでしょう。

ストリートを颯爽と駆け抜けるカフェレーサー。大型二輪免許を要しますが、これほど完成度が高いスタイルで販売されているという事実に脱帽するばかりです。


[ROYAL ENFIELD CONTINENTAL GT SPECIFICATIONS]
CONTINENTAL GT(YELLOW)

CONTINENTAL GT(YELLOW)

全長/2,060mm
全幅/760mm
全高/1,070mm
ホイールベース/1,360mm
最低地上高/140mm
半乾燥重量/184kg
エンジン型式/4ストロークOHV
排気量/535cc
燃料タンク容量/13.5L
フロントタイヤ/100/90-18 56H
リアタイヤ/130/70-18 58H
メーカー希望小売価格(消費税込)/797,040円
(2014年8月現在)
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