頻繁にリバランスを行う必要はない
リバランスは、増えた資産クラスを売却し、減少している資産を買い増すことになります。前ページのポートフォリオの場合、当初の資産配分割合は25%ずつの均等投資ですから、資産が増えた場合は、4つの資産クラスに30万円ずつ均等投資することになります。外国株式5万円と国内株式2万円を売却し、売却益の7万円で国内債券を買い増すことになります。外国債券は30万円ですので何もしなくて構いません。リバランスを行うことで、期待収益、予測損失が一定の範囲内に収まる可能性が高くなるのですが、頻繁に行うと売買手数料等で余計な投資コストを負担することになります。短くて1年、だいたい2~3年程度に1度リバランスを行うとよいでしょう。
その際、ある資産クラス、たとえば国内株式を全て売却することはありません。通常は一部売却になるため、分割して売却が行いやすい株式投資信託やETF(上場投資信託)などの小口資金で投資できる商品を活用した方が、リバランスが行いやすくなるはずです。リバランスとは趣が異なりますが、『資産運用では時間分散を活用する』で売却時にも時間分散を活用するべきと述べました。売却時の時間分散は、購入価格から3割上昇したら全体の3割売却、5割上昇したら再度同3割売却などというように、価格の上昇と共に売り上がっていくのです。仮に、途中で価格が下落しても、保有資産の何割かは既に売却していますので、全く売却(利益確定)しなかったという後悔は減るはずでしょう。
資産クラスは多様化している
最後に、資産クラスの多様化を述べて分散投資の考え方の基本は終わることにします。かつて分散投資と言えば、国内外の株式や債券に分散投資するのが基本でした。海外の資産は、先進国の資産に投資しておけばよかったのですが、先進国のほとんどは高成長国から成熟国に変化したため、高い成長を見込めなくなりました。
また、新興国のGDP(国内総生産)の合計が先進国合計を2013年に上回ったことから、新興国の株式や債券をポートフォリオに加えなければ、資産全体の収益の底上げが難しくなっているのです。さらに、先進国の金融緩和により通貨の信認が低下したことから、金を始めとする代替資産もポートフォリオに加える必要さえ生じているのです。
仕事には定年退職などの終わりがありますが、資産運用は生涯現役であることから、各世代にあったリスク・リターンのポートフォリオを構築すると同時に、時代に合わせて資産クラスの内訳を変化させていく必要があるのです。資産運用に終わりはないのです。