ストリートに映えるレーサースタイル
日本人にベストな一台のXL883R
身長174cmの僕がまたがると、若干ヒザにゆとりがあるベタ足です。身長160cm未満の女性でもカカトが浮く程度。シートは割りと厚みがあり、個人的にはさほど気になりませんでしたが、女性なら股間部の太さが気になるかも。ハンドルは思っている以上にワイドで、実際に手を添えてみるとかなり幅広であることが分かります。このワイド感がXL883Rをコントローラブルにしているのですが、これまた小柄な人にとっては大きすぎるかもしれません。ステップ位置はニュートラルなミッドコントロールなので、ハンドルを絞ったタイプに、シートも国産メーカーの細身タイプに換えれば、かなり乗りやすくなるでしょう。他のローダウンモデルと違い、フロントフォークおよびリアサスペンションがしっかりとした長さを保ち、コーナリングを楽にクリアさせてくれるバンク角が保たれているのもXL883Rの特徴。また、ハーレーのモデルの大多数がフロントブレーキひとつなのに対し、このXL883Rはダブルディスク仕様。つまり、ブレーキング機能が他のモデルに比べて高いのです。これもレーサーモデルとしての血統と言えるところでしょう。
ハーレーのなかでもっとも小さい883ccという排気量、そしてワイドなハンドルバーにミッドコントロールと、オーソドックスなモーターサイクルとして整えられた一台なので、慣れてくればこんな乗り方だってカンタンにできちゃいます。積載能力は低く、ハイウェイライドを考えるなら大きな排気量モデルが他にもあるので、このXL883Rの能力を引き出して楽しむなら、ストリート(街乗り)かワインディング(クネクネした山道など)、ショートツーリングといったところ。ロングツーリングだって十分可能なのですが、モノが積みにくい(積むためにはサドルバッグやキャリアを装着する必要がある。もしくはライダーがすべて背負う)モデルなので、本モデルの購入をお考えの際は、「ハーレーを買って、どう楽しみたいか」というご自身の要望に適しているか否か、を検証してみてください。
ハーレーといえばカスタム! XL883Rをカスタムするとしたら?
チェッカーデザインでまとめられたレーサー風グラフィックもカッコいいので、ファッションとして見てもストリートに映えるモデルです。で、ファッションという点で言えば、人とは違う自分だけの見せ方が重要になってきますよね。バイクも同じで、人と同じバイクじゃあ面白くない。そこで出てくる選択肢がカスタムです。ハーレーのカスタムは奥が深く、詳しくはまた次の機会にお話しようと思いますが、今回登場したXL883Rのようなストリートレーサーをカスタムするとしたら……という一例をご紹介しましょう。
これは僕の友人のXL883R カスタムバージョン。超軽量マフラー、細身のハンドル、ポジションを調整するシート、そしてステップ交換を施し、スポーティなXL883Rをよりスポーティにまとめています。それに合わせてセッティングもしており、オーナーのバイクライフに合わせた好例とも言えるカスタム。最近はペインターに依頼してグラフィックもオリジナルのものに変えておりました。自分にとってより良いバイクに昇華させることこそ、カスタムの真髄なのです。
カッコいいとはいえ、やはりハーレーダビッドソンは“アメリカ人のために作られたモーターサイクル”ですので、日本人が乗るとするなら、自分に合ったスタイルへカスタムするという選択肢も必要かと思います。言うなれば、自分がバイクに合わせるのか、バイクを自分に合わせるのか。このXL883Rも十分乗りやすいですが、もっと乗りやすくなれば、もっとバイクに乗ることが楽しくなってきます。「ハーレーを操る楽しみを味わってみたい!」という方にはこのXL883Rはうってつけのモデルですし、ノーマル以上に“乗って楽しいバイク”にすることだってカンタン。ハーレーダビッドソンを楽しむ世界は奥が深いのです。購入をご検討の際は、こうした楽しみ方も含めて想像を膨らませてみてください。