保険料を決める3つの予定率
生命保険の保険料は、「予定死亡率」、「予定事業費率」、「予定利率」の3つの予定率を使って計算されます。保険会社では、過去の死亡率の統計をもとにして性別・年齢別の死亡者数を予測し、将来的に支払わなければならない保険金額を計算します。この計算に用いる率が「予定死亡率」です。予定事業費率は、保険会社の経費(契約を募集するための費用や保険料の集金費用、契約の保全にかかる費用など)を見積もる際に用いられる率です。この2つの率が下がると、保険料は下がります。
予定利率は、契約者から払い込まれた保険料(一部)を運用した場合に得られるであろう利回りのことです。保険会社は契約者から預かった保険料(一部)を、将来の保険金の支払いに備えて積み立てて運用しています。その運用で得た利益は、保険料を払っている契約者のものです。ですから、あらかじめ運用益を予測し、それに相当する分だけ、保険料を割り引いているのです。予定利率を保険料の割引率というのは、ここから来ています。予定利率が上がると、保険料は下がります。
死差益と費差益が収益の源
保険会社の収益は、3つの予定率に対応した3つの要素から成り立っています。予定死亡率をもとに見積もった支払額より、実際に支払った保険金が少ないと利益が出ます。これを「死差(シサ)益」といいます。予定事業費率で見積もった経費より、実際に使った経費が少ないことで出る利益は「費差(ヒサ)益」です。
そして、運用が予定利率より高い利回りを達成すると「利差(リサ)益」と呼ぶ利益が出ます。逆の場合は損が発生し、これを「利差損」といいます。利差益を「順ザヤ」、利差損を「逆ザヤ」といったりもします。
保険会社の収益の大半は「死差益」から生まれています。そのカラクリは、予定死亡率を実際の死亡率より高めに設定しているからです。予定事業費率も甘めにしている会社が多いので、ここからも利益か生まれています。
予定死亡率と予定事業費率を下げてくれると保険料はもっと安くなるのですが、そう簡単には実現できないことのようです。