他を圧倒するような攻撃的フォルム
その乗り味も、じゃじゃ馬!
美しくまとまったロー&ロングのこのスタイル、メーカーからそのまま出てきたものとは思えない姿です。伝統のFLとは違った攻撃的なフォルムに惹かれるファンも多く、このブレイクアウトも現在人気上昇中だと聞きます。「ハーレーダビッドソンに乗るからには、他メーカーにはない“やんちゃさ”が見えないと面白くない!」という声も多いとか。そういう意味で、ブレイクアウトはハーレーオーナーのツボを押さえたモデルだと言えます。ディテールを見れば、いわゆる“直線番長”な1台であることが伺えます。特に目を引くのは、「ドラッグバー」「フォワードコントロール」「240ミリ極太リアタイヤ」の3点でしょう。一文字型のハンドルバーはドラッグバーと呼ばれ、直線コースでのバイクの速さを競うアメリカの人気モータースポーツ『ドラッグレース』に登場するドラッグマシンが多用しているスタイル。一般的なバイクのハンドルと異なり、操作性よりも掴みやすさを重視したものです。
そしてフォワードコントロールと呼ばれる前方に突き出したステップ位置は、大柄なアメリカ人らしい足を投げ出すチョッパースタイルに不可欠なポイント。さらに240ミリという全ラインナップ中もっとも太いリアタイヤは、ツインカム96Bエンジンが生み出す強烈なパワーを受け止め、大地を掴むように力強く走るために要するもの。この3ポイント解説だけでも、ブレイクアウトがどれだけ攻撃的なモデルかお分かりいただけたかと思います。
そして実際に乗ってみましたが……これがなかなかのじゃじゃ馬です。FLSTNソフテイルデラックスと合わせて長距離を走ったのですが、デラックスを優等生タイプとすれば、このブレイクアウトはクラスいちの悪ガキくん。猪突猛進という言葉どおりのパワフルなハイウェイライドを味わわせてくれる一方、先ほどの3点(ドラッグバー/フォワードコントロール/240ミリリアタイヤ)という組み合わせから、コーナリングの際になかなか言うことを聞いてくれません。一般道での急なコーナーの際、ちょっと強引に倒し込んで走ってみると、ステップの下に付いているバンクセンサーを見事にカリカリっ! とこすってしまいました。1584ccという強大なパワーを持つツインカム96Bエンジンも手伝って、暴れられているという印象。“操る”という点でいえばこれほどの利かん坊は久しぶりです。ただ、これを操れれば新しい境地にたどり着けるとも感じた次第です。
改めてアメリカらしいスタイルのバイクだなぁと思わされたブレイクアウト。合理性という要素が少しでも加われば、こういうスタイルのモデルは生み出されないでしょう。スタイリングやデザインというところを重視したモデル開発は海外メーカーならでは。快適な乗り心地を求めるなら、僕はハーレー以外のメーカーを検討することをオススメしています。ハーレーダビッドソンに乗るからには、こうしたところも「味わい深さだ」と楽しめる度量が必要だと思います。そういう意味で、このブレイクアウトはそんなハーレーダビッドソン モーターカンパニーのスタンスを明確に表したスタイルの持ち主といえるでしょう。