国際分散投資が再び注目される
2014年からNISA(少額投資非課税制度)が本格的に始まったことから、再び「国際分散投資」が脚光を浴びています。2013年の1年間に新規設定されたかなりの数の投資信託が、複数の資産クラスに国際分散投資が行われるバランス型の投資信託だったからです。しかし2008年のリーマンショック後の一時期、国内債券を除くほぼ全ての資産クラスが急落したことから、国際分散投資の効果が疑われたのは記憶に新しいところです。国際分散投資の効果が疑われた要因はいくつかありますが、大多数の個人投資家が資産運用の成果を絶対リターンで評価してしまったからだと思われます。
国際分散投資しておけば元本が大きく棄損することはない、極端なケースでは元本割れをすることはないという個人投資家の勘違い、理解不足などがあったと考えられるのです。国際分散投資の効果を集中投資を行った場合と比較すると、ポートフォリオの価格変動の振れ幅が抑えられるところにあるのです。
資産の増え方には単利と複利がある
それでは、ポートフォリオの価格変動の振れ幅を抑えると、資産運用においてどのような効果があるのかと言えば「複利効果」がより高くなるのです。資産運用における収益の増え方には、「単利」と「複利」があります。単利とは一定期間ごとに収益が支払われる増え方で、変動金利(収益)を除けば毎年一定の金額の収益が得られることになります。資産を増やすという資産形成よりも、定期的に収益を得てキャッシュフローを充実させるリタイア層などに向く運用スタイルと言えるでしょう。
単利に対して複利とは、一定期間ごとに得られる収益を元本に加えて(再投資して)、これを新しい元本とみなして収益が増えていくことになります。収益が収益を生むことから、主に資産を増やしたい現役世代に向く運用スタイルと言えるでしょう。
複利運用では、同じ収益率であれば元本に収益が加わる頻度が多ければ多いほど資産が増える速度が増すことになります。預貯金では、1年複利よりも半年複利が、半年複利よりも1ヶ月複利の方が効率的に資産を増やすことができます。この複利運用の効果を高めるためには、ポートフォリオの価格変動の振れ幅を抑えることが鍵になるのです。
複利効果を高めるのが国際分散投資
図は100万円を資産運用したときの、複利効果の違いを表したものです。どちらがより増えるのか
2つの資産の増え方を見ると、収益率が高い年があり収益率の振れ幅が大きいポートフォリオAの方が資産をより増やすことができるように思えてしまいますが、実際は収益率の振れ幅が小さいポートフォリオBの方が資産を着実に増やすことができるのです。複利効果は運用が上手く行っている時には、収益が収益を生む勢いが増すことになりますが、運用収益がマイナスになった時には、当初の投資元本だけではなくマイナスになった年までに元本に加えられた収益部分も減少してしまうのです。