ペンケースは、いつから「筆箱」ではなくなったのだろう

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ストーリオ「万年筆ケース 3本差し ブラック」1万3700円(税別)

大人になると、いつの頃からか筆箱を持つ事を止めて、ペンケースとか、ポケットにペンを挿すとか、そういう方向に移行していきます。何故、箱でなくなるのかというと、多分それは、箱がかさ張るからなのでしょう。ただ、筆記具を大事に持ち歩く、という観点だと、布や革のペンケースよりも箱タイプの方が優秀なのです。

元々、なぜ小学生、特に低学年の子供たちが筆箱を持っているかというと、鉛筆の芯が折れないようにだし、蓋を開ければ持っている筆記具を一覧出来るからです。つまり、堅牢性、検索性に関しては、筆箱の方が優れているんですね。
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ラインアップは三種類。上から3本差し、2本差し(1万900円・税別)、1本差し(7300円・税別)。色は上下のブラックと、中央のナチュラルの2色。

実際、万年筆を持ち歩くためのペンケースは、革製でも、かなり箱に近い形状のものが使われています。また多本数を持ち歩く場合は、ほとんどポーチのようなケースが使われたりもします。それでも、筆箱はあまり使われません。それは、大人が使いたくなるような筆箱がなかったという事かも知れません。このガイド記事でも前に紹介した事がある、五十音のPVC製の筆箱のような、純粋に大人のために作られた筆箱は、やはり製品として珍しいのでしょう。
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パッケージもカッコいいので、ギフトにも最適。写真は1本差し(7300円・税別)

という中で、ストーリオの「万年筆ケース」は、いきなり登場して、筆箱の決定版になってしまったのではないかというような、何とも良く出来た「筆箱」なので、ガイド納富は本当に驚いてしまいました。とにかく凄いのは、筆箱に限らず、ペンケースというのは、どれも収納力に比べて意外に大きいものなのですが、このストーリオのケースは、とてもコンパクトなのです。木製の「筆箱」であるにも関わらず、収納力とルックスが見合っていて、だからこそ、その佇まいがとても魅力的に見えます。

曲げ木の技術を使ってミニマムに仕上げた形の見事さ

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スライドさせると、万年筆を包む革のインナーが付いたトレイが現れる。

製品ラインアップは、大きく3種類。1本用、2本用、3本用があります。それに、ナチュラルとブラックのカラーバリエーションがあります。そして、木製の箱ではあるのですが、蓋と本体が分かれたいわゆる「箱」ではなく、木製のシェルの中に木製のトレイが入っていて、そのトレイを引き出すと中の筆記具が現れる、というスライド式の筆箱になっています。トレイの中にはペンを包むように収納する革製のインナーが付いていて、中に入れた筆記具同士で傷がつく事を防いでいます。外側は、しっかりと木製のシェルが中身を保護しています。
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底面。この部分を引っ張るとトレイが現れる構造。開閉時にカチッと音がして止まるのが気持ちいい。

このシェル部分も、トレイ部分も、木を組んで作るのではなく、曲げ木の技法を使って、木材を成形しています。ですから、木と木の接続面がありません。角の分、コンパクトに作れるわけです。これが布や革製だとすると、縫い代がないのと同じですね。実際、なぜペンケース、特に1本ずつセパレートに収納するタイプが、収納量の割りにサイズが大きくなるかというと、この縫い代にあたる部分と、ケースの上下のスペースが、筆記具のサイズに比して、かなり大きくなってしまうからなのですね。箱形だと、さらに本体と蓋の両方に厚みがあるので、その分外形が大きくなってしまいます。それを、木を曲げる技術でクリアして、しかもスライド式にする事で、箱形でありながら、トレイ部分とシェル部分、さらには底部にも重なりを作らず、必要最小限のサイズを実現しています。
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万年筆の収納部分以外は、一切の無駄を省いた構造で、大きさが必要最小限に仕上がっている。

実際に手に取ってみれば分かるのですが、このケース、本当にスペースに無駄がありません。ペンとケースの隙間もとても小さいですし、曲げ木で作られたシェルも薄く、トレイ部分は上下と底面、シェル部分は左右と上面、底面をカバーしていて、ケース自体にも底面以外重なりが無いのです。万年筆は、かなり大きめのものも収納可能ですが、その、入れた万年筆と、このケースを並べて置くと、そこにたいしたサイズ差を感じないほどです。さらに、シェルの上部が緩やかに曲線を描く様も含め、デザインの仕上がりも見事です。

筆記具を「道具」として持ち歩くためのペンケース

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木の肌触りがとても良く、柔軟性のある素材は耐久性がある。

曲げ木は、柔らかい木だから曲がっている訳ではなく、薄いので多少の弾力はあるにしても、しっかりとした固さを保っています。だから、このケースを入れたカバンをぶつけたりしたところで、中のペンが簡単に破損する事はありません。その上で、とても「木」です。仕上げがキレイだからというのもありますが、カエデ無垢材の質感は、「木」を使っているという感触をダイレクトに手に伝えてくれます。
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使用時は、こんな風に上から下にスライドさせると、出し入れがしやすい。この時の感触の良さは、他のペンケースでは味わえない。

また、木の加工だけで作られているスライドのギミックは、開閉時のカチッと止まる感触が心地よく、思わず意味もなく開閉してしまうほど。また、その「止まり加減」が絶妙で、開く方向に逆さにしてもスライド部分が落ちてくることはなく、しかし、引き出す際の力はほとんどいりません。また、本体自体が軽いため、片手で手前に開閉部がくるように本体を持ち、少し開閉部を下げて、もう片方の手で底面と開閉部を握って、下方に引き出すと、スムーズにトレイが引き出され、そこから目的のペンを取り出す作業もスムーズに行えます。リングに差し込んだり、クリップを差し込んだりといった固定方法ではなく、ただインナーに包まれているだけなので、トレイを引き出せば、後は取り出すだけ、という簡単さも、「使いたい時にはすぐ使いたい」という筆記具のためのケースとして、良く出来ています。

ガイド納富の「こだわりチェック」

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どちらかと言えば小ぶりのペンケースにも使える「文具入れ(ポール工房・2000円・税込)」と比べても、このコンパクトさ。これに大きめの万年筆を3本収納出来るのだ。

とにかく、これカッコいいのですが、その大きな要因は、思ったよりコンパクト、という部分だと思うのです。ペンケースは大体写真などで見るより実物は大きく感じるものなのですが、実際に筆記具のサイズに近いくらいコンパクトだと、逆に写真で見るより更に小さく感じます。このストーリオの「万年筆ケース」やrethinkの「Lim Pensleeve」がとてもコンパクトに、凝縮されたように見えるのは、そのせいでしょう。つまり、それほど筆記具そのものに添って作られているということなのだと思います。
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2本差し、3本差しの上部の窪みは、ペントレイ的に利用する事も出来る。

個人的には、その凝縮感やコンパクトさが際立つ3本差しがお勧めです。最も「箱」っぽい、という意味でも、蓋部分がペントレー的に使えるという意味でも、無垢材の感触を最も多く味わえるという意味でも、この製品の特長が最も良く現れていると思うのです。もちろん、ペンケースですから、何本を持ち歩きたいか、という点で選ぶのが基本ですし、大事な1本の保管用に1本差しという選択があっても良いと思います。実際、ガイド納富は1本用は他に愛用しているものがあるにも関わらず、とても欲しくてたまらなくなりました。大事だけど毎日使う1本を、机の上に常備しておくのに、とても似合うケースだと思ったのです。まあ、それは2本差しでも1本差しでも言える事ですが。
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沢山の筆記具や文具を入れたい場合は、同じくアーバンウッドの「ストーリオ眼鏡ケース」もある。

あ、購入は、5月中旬からMARK'STYLE TOKYOと大阪あべのハルカスでテスト販売されていて、5月27日からは新宿伊勢丹の「新潟百年物語」の展示会でも販売されますので、早く手に入れたい方は、そちらにも足を運んでみてください。6月からは、あちこちで販売される事になる模様です。

<関連リンク>
万年筆ケースの詳細は、アバンウッドのホームページから。
販売情報などは、ストーリオのFacebookページで。
ストーリオ製品を製作するアーバンウッドのFacebookページにも、情報が掲載されています。
ストーリオの眼鏡ケースをペンケースとして使う記事はこちら