振付師ってどんな人?
振付師のほとんどは、元スケーター。ニコルやウィルソンのほかにも、素晴らしいプログラムを振付けるマリーナ・ズエワ、パスカーレ・カメレンゴ、アレクサンドル・ズーリンなど、北米、ヨーロッパと、それぞれにテイストの違った振付師が活躍しています。アイスダンス出身の振付師が多いのも特徴です。アイスダンス経験者は、さまざまなステップを熟知しているからこそかもしれません。
とはいえ最近では、男子シングル出身のジェフリー・バトル(カナダ、2008年世界チャンピオン)やステファン・ランビエル(スイス、2005年、2006年世界チャンピオン)なども、羽生結弦や町田樹のプログラムを手がけています。
トップ選手を振付けている「専業の振付師」は、世界でも10名程度。その中に、日本人の振付師もいます。高橋大輔の『Eye』や『バイオリンのためのソナチネ』を振付けた宮本賢二さん。エフゲニー・プルシェンコのプログラムを振付けた経験もあります。トップ選手だけでなく、小さな子どもやこれから世界にむかっていくスケーターたちのプログラムも積極的に作っています。
振付師以外が振付けることは?
専業の振付師のほかにも、クラシックな曲のときにバレエダンサーやバレリーナに、モダンな曲のときにはフロアダンサーに、フラメンコでは本場のフラメンコダンサーに振付けをお願いすることも多々あります。ただし、ダンサーたちには氷上での動きが把握しにくいので、一緒にコーチやスケート経験者などがついて、「氷上だとこういう動きになるかな」と動きの通訳のようなことをするケースもあるようです。ちびっこスケーターやジュニアの選手たちなどのプログラムは、コーチが振付けることも少なくありません。また、町田樹は、昨シーズンのエキシビションナンバー『白夜行』を自分で振付けています。自分で曲を探して、テーマやストーリーを設定し、振付ける……という一連の作業を経て自分らしいプログラムを作るのも、自分というスケーターをプレゼンするためには大切なこと。特に、トップに上る手前の時期でそれを見せた彼にとっては、『白夜行』を通して「町田樹とはこういうスケーターだ」と披露できたことが、昨シーズンの急上昇の足掛かりのひとつになったかもしれません。
今回は、ここまでです。次回は、曲選びや費用、自分のプログラムにしていくということ、などについて紹介します。