地域とともに生きる三陸鉄道
三陸鉄道は盛り土のような高架で海岸付近を進むところが多い。それが防波堤の役目を果たし、線路の内陸側にある集落の被害を少なくした個所が散見される。列車による輸送以外でも三鉄の地域に果たした役割は大きいのだ。海岸には、津波で破壊されたままの防波堤もまだまだ残っている。海の方を向いて倒れているものは、寄せて返す引き波によって崩壊したもので、その凄まじい破壊力には今更ながら驚かされる。作業用クレーンが懸命に作業をしているけれど、復興はなかなか進んでいないのが実情である。
甫嶺(ほれい)を過ぎて三陸駅に到着。ホームの屋根から特産品のコロ柿(干柿)が吊るされていて壮観だ。12月中旬の食べ頃になると無料で振舞われるとのこと。ここから見える越喜来(おきらい)湾は津波の被害が甚大であったところで、参加者全員で海に向かって黙祷を捧げた。
乗車後、バスで越喜来湾の漁港を訪れるとたまたま漁船の進水式が行われ賑わっていた。近くの観光牡蠣番屋で、毛ガニでダシをとったすいとんをつくっていただいたが、カニはあくまでダシであって食べないとは、ある意味贅沢なことである。
南リアス線の今後
列車は次の駅吉浜で折り返す。これは国鉄盛線時代そのままの運行形態で、第三セクター三陸鉄道になってから開業した吉浜~釜石間がそっくり不通になったままだ。復旧作業が目下進行中で、2014年4月の全線運行再開が予定されている。震災以来、列車の発着がなくなった三陸鉄道釜石駅は、駅舎内を「さんてつジオラマカフェ」として営業中だ。鉄道模型を走らせながら、三鉄グッズなどの販売を行い頑張っている。JR釜石駅のすぐ隣なので、釜石に出かけた際には、応援を兼ねて訪問したい。
目下のところは、他社の線路とはつながっていない南リアス線だが、釜石まで再開すれば、JR釜石線とつながる。釜石線では2014年春から「SL銀河」の定期運行が予定されているので、SL列車の乗車や撮影とからめて南リアス線にも足をのばして応援できればと思う。
震災学習列車については、こちら
【関連サイト】
三陸鉄道ホームページ