庭をパーツ分け駐車場編
庭づくりを学ぶために、庭を現代的にパーツ分けし、前回は外周工事にかかわるパーツを学びました。今回は、現代社会では増える一方の車を保管する場所、駐車場について学びましょう。19のパーツを見る 1.外周工事を見る 10.ウッドフェンスを見る
車の普及と庭の減少
車の普及率はおよそですが、東京で60%、大阪で70%、栃木県はなんと98%、35の県で90%を超えています。 大都会を除けば、一家に一台は当たり前、今や一家に2台の時代となっています。当然、一軒家では、駐車場は必需品。そうなると、「緑のスペースを車が奪った」と感じるのは私だけでしょうか。駐車場をただ車をとめておくだけの場所には絶対してほしくありません。ではどうデザインしてゆくのが良いでしょうか?
駐車場も緑でいっぱい
地球上からどんどん緑が減っている現代、駐車場も緑でいっぱいにしたいものです。最近では、よりナチュラルを求めて、コンクリートを使用せず、レンガや枕木や砂利敷きに加え植物を多用する駐車場も増えて、植物好きの私には喜ばしいことです。植物を用いると、季節などにより表情も変わりますし、デザインの変更や水道や電気器具などの変更にもコンクリートを壊さなくて良いので対応が容易です。
駐車場に用いる植物も、背丈が低く地を這うように育つ植物(今後はグランドカバーと呼ぶ)も輸入により、踏まれることに抵抗性のあるものが増えました。しかし、草丈の長さや雑草の管理等のメンテナンスが増えることは覚悟しなくてはなりません。
使いやすく、緑を増やすデザイン
使用上の利便性や経済性や工期などを総合的に考えると、コンクリートを主軸にすることがベターと言えます。コンクリートにレンガや石材等でワンポイントを加え、グランドカバー等のグリーンを加える程度が良いでしょう。コンクリートにも鏝形をつけたり刷毛引き等で表情をつけることができます。手形やモチーフのスタンプなどもお洒落です。あまり多種類の材料を使用したり、曲線の多様でデザインすると、ごちゃごちゃした過剰なデザインになるので注意が必要です。
少なくとも、わだちや乗り降りに影響のない部分や、駐車場の道路と接しない周囲3辺は植栽することと、できれば、コンクリートを1畳以下にブロック別けし、帯状の溝をつくり、そこにグランドカバー等の植物を植栽することをお勧めします。
そうしてできた緑の溝を、緑の継ぎ目と言う意味でグリーンシームと名づけました。「グリーンシーム」は、現在、都市計画の緑化推進で「グリーンベルト」という呼び名が別の意味で使われているので、それと区別するために私が名づけたものです。
コンクリートにグリーンシームを入れると、緑が増えるだけでなく、コンクリートのひずみがシームに集まり、ひび割れを防ぎます。また、電気器具の追加等の際にグリーンシームを使うと、コンクリートを壊さなくてすみます。ただし、昼間に長時間駐車しているケースでは、植物の日照時間が不足しますので、グリーンシームは不向きといえます。
グリーンシームに植栽する植物
グリーンシームに植栽する植物を数種類ご紹介します。まず思いつくのが芝生でしょうか。芝生では日本芝より踏み圧に強いティフトン芝がお勧めです。ただし日本芝にくらべ成長が早いので、芝狩りの回数は増えます。ティフトン芝は冬枯れしますが、秋に冬芝の種を蒔くと常緑の芝が作れます。
芝生の他にはタマリュウという植物もよく見かけ、緑の濃い常緑のグリーンシームが作れます。もっと踏み圧に強いのが、リピアです。毎日車で踏む場所でも枯れません。白やピンクの花を春から秋まで咲かせ、冬には葉はなくなります。常緑のグランドカバーと交互に植えると、冬も緑を楽しむことができるでしょう。
日照時間が充分確保できる場合はクリーピングタイム等も良いでしょう。日照時間が充分に確保できない場合は、アイビーやプミラなどのつる性植物が良いでしょう。成長が早い点には注意が必要です。わだちと関係ないスペースには色々な植物を植栽し、表情豊かな駐車場を作りましょう。