行きすぎた節約は逆効果
行きすぎた節約がもたらすものは……
「節約することは必要ですが、やりすぎは良くありません。たとえば、以前、家計相談をしたなかに『レジャー費を切り詰めるため、休日は家族で近所の公園へ行き、カップヌードルを食べている』というご家庭がありました。ご主人に『楽しいですか』と聞いたところ『本当はイヤだ』とおっしゃる。家族と公園で過ごすことが目的ならともかく、レジャー費を切り詰めることが目的になっているから、『楽しくない』のです」(畠中さん)
家計のやりくりをしている人(多くは妻)は満足していても、ほかの家族(夫や子ども)はガマンを押しつけられているだけというケースが、案外少なくないのだとか。家族のために節約しているつもりが、家族をゆううつにさせているとしたら、その節約は単なる自己満足に過ぎないと言えるかもしれません。
苦しいだけの節約では長続きしない
また、苦しいだけの節約は、長続きしない可能性も高いと畠中さんは指摘します。「『月々いくら節約する』という金額だけが目標の節約は、やっていて苦しいだけ。だから、そう長くは続きません。続かなければ、いつになってもお金は貯まりません。それ以前に、親が楽しそうに生きていない家庭で、子どもが楽しく生きられるでしょうか?」
お金を貯めることだけを目標にガマンを強いられて育った子どもは、自分が家庭を持ったときにも、家族に同じガマンを強いるかもしれません。果たしてそれが「幸せ」と言えるでしょうか…。
「実を言うと、私自身、節約が苦手です。我が家の場合は、家族旅行のための支出が多いのですが、『旅行にあれほどたくさんのお金を使わなければ、今ごろは家のローンを完済できていたはず』と反省することはあっても、お金を使ったことを後悔したことはありません。お金はなくても、家族との“思い出貯金”がたくさん貯まっているからです」
また、「家族旅行に行く」など家族共通の楽しみな目標があれば、全員で協力して節約をし、お金を貯めることができるようになるのだとも。どうやらお金を貯めるには、ココロのあり方、持ち方から変える必要がありそうです。
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畠中雅子さん
ファイナンシャル・プランナー。大学時代からフリーライターとして活動し、出産後にマネー分野を専門とするライターとなりFP資格を取得。新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載やレギュラー執筆を持つとともに、セミナー講師、講演などを行う。「教育資金作り」「生活設計アドバイス」「住宅ローンの賢い借り方、返し方」「オトクな生命保険の入り方と見直し方」などのテーマを得意としている。
取材・文/大山弘子 イラスト/本山浩子 パネルデザイン/引間良基