思春期ならではの独特な苦みと透明感を描いた作品
■作品名はみだしっ子
■作者
三原順
■巻数
全13巻 (白泉社文庫:全6巻)
■あらすじ
イギリスと思われる場所を舞台に、家族との不調和で心に傷を持つ家出少年4人(黒髪や金髪、内向的と外交的など、見掛けも中身もそれぞれ違うタイプの少年、グレアム、アンジー、サーニン、マックスの4人)が様々な困難や苦難にあいながらも、大人への不信感を募らせる一方、互いを思いやり兄弟のような心情を育み、後に家族となる大人達と交流し、自己と向き合っていく姿を描くストーリー。
■おすすめ理由
物語や登場人物の内面描写は文学的で、セリフなどの文字表現も多く、まるごと全てセリフ(手紙)で埋められているページなども特徴的。含みを残す表現も多く、重いテーマ、決してハッピーエンドとは言えないラストなども含めて、読者に自己の在り方とは……を問いかける作品。
現在は絶版などでなかなか入手出来ないようですが、
主人公が自分自身の中に葛藤を抱え、悩んで破綻していく中にも、新たな信頼する大人に壊れた自己を委ねていくという選択に、一つの解放と進化を提示した、よく描かれていて、今でも最も忘れられない作品の一つです。