身分を知らないままに恋をした王女と王
■作品名ファラオの墓
■作者
竹宮恵子
■巻数
全8巻 (新装版:全4巻)
■おすすめ理由
竹宮さんの作品の中で有名なのは「風の木の詩」、日本で最初のやおい漫画ですが、
その後の作品が壮大な歴史漫画です。古代エジプトの王の話。
■あらすじ
ウルジナ国のスネフェル王。
きまぐれな王のきまぐれな行動により一夜であっけなく滅ぼされるエステーリア国。
逃げ惑う王家の人、第2王子のサリオキスと王女のナイルキア、サリオはナイルをナイル川に流します。
サリオは、奴隷としてウルジナに捕まり流転しながら、
やがて砂漠の鷹として、ウルジナの滅亡を狙います。
凶暴なウルジナの王、スネフェルはエステーリアを滅ぼしても気が済まず、
いつもいらいら、暴れ王として人に恐れられています。
そんな王と、ナイルキアは偶然出会い、お互いの身分を知らないままに恋をします。
お互いの孤独を満たす恋。
やがて、スネフェルの身分はナイルに告げられます。
恋しい人が、自分の国を滅ぼした王であると知ったナイル。
ナイルを愛するがゆえに、ナイルを手に入れるには、
王として誰にも後ろ指差されない絶対の存在になると悟ったスネフェル。
傀儡の王として、今は家臣に操られて、
このままの未熟ではナイルと結婚できないと悟った時、王として立派になろうとします。
愛ゆえに変わったスネフェルの変化に、
王女としての身分を忘れ、エステーリアを忘れて、ウルジナの娘になろうとするナイル。
愛し合う2人の間に、悲劇が襲います。
ナイルの兄サリオが砂漠で生きてると知った時、
生き別れの兄に会うように罠をかけられ、捕えられ、
ナイルは、砂漠の鷹と通じてるスパイの嫌疑をかけられます。
真実は、何も言わずに死を選ぶナイル。
王は、絶望のまま、ナイルを自分の手にかけ殺してしまいます。
泣いてばかりいたナイルが、スネフェルの愛により、
王女として最後まで取り乱さず、スネフェルの腕の中で死んでいったのに反して、
愛する人を、自分の手で殺してしまう自分の運命を、
黙って死を選んだナイルを呪います。
しかし、そのナイルもエステーリアの姫と知り、
自分がかつて手を下した運命のいたずら、からまった運命の悲劇に、
自らの滅びの時を待つスネフェル。
サリオとアンケスエンの恋もあるのですが、
やっぱり、スネフェルとナイルの恋物語が
美しく、悲劇的で……涙します。壮大な歴史ロマンです。