一緒に星になるまでのつかの間の人生

『星守る犬』

 

■作品名
星守る犬

■作者名
村上たかし

■おすすめの理由
2008~2009年に「漫画アクション」に連載された「星守る犬」は、雑誌ダヴィンチ「泣ける本ランキング」と「読者が選ぶプラチナ本」の2部門で第1位を受賞。

米国図書館協会の若者向けサービス部門「12歳から18歳の優秀なグラフィックノベル2013」
のベスト10にも選ばれ、映画も大ヒットしました。

中年男性と、その飼い犬が一緒に星になるまでの、つかの間の人生を描いています。

■あらすじ
病気で仕事を失った夫、離婚を言い渡す妻、ぐれた娘……バラバラになった、ごく普通の家族。

「おとうさん」は、少ない家財道具とともに愛犬ハッピーを連れて車で旅に出ます。

魚釣りをしたり車の中で眠ったり、気ままなドライブを続ける二人ですが、
途中でハッピーが急病に。

手術費用のため家財道具を売り払い、親切にした少年に財布を盗まれ、
文無しになる「おとうさん」。

最終的に行き着いたキャンプ場で、どんぐりや捨てられた食材を拾い、
車の中で野宿を続けますが、持病が悪化し亡くなります。

そして「おとうさん」が死んだあと、そばを離れないハッピーも……。


「星守る犬」はこの話と、後日談「日輪草」の二部構成になっています。
「おとうさん」とハッピーの遺体が車中から発見され、
身元を探すケースワーカーの男性の話へとストーリーは引き継がれて行きます。

根底にあるのは、「犬はいつも待っている」ということ。

ご飯や散歩、遊んでくれること……。
人間の身勝手な都合や心変わりを責めることもなく、ただひたすら信じて待っている。

ペットショップで安易に犬を飼い「飽きた!」「世話が大変!」と平気で保健所に持ち込む人。

「いらない」と高速のSAに置き去りにする人。

そんな現実が山のようにある「ペット大国」とは名ばかりの日本。

この物語を読んで「人間とともに生きることを切望している」犬の喜びや哀しみを
もっと知って頂けたら……と思います。

「おとうさん」とハッピーは、決して不幸ではなく、いつも一緒にいられて幸せだった……ということを感じるのが、このハッピーに語りかける「おとうさん」のセリフです。

『何もかもなくなったのに。 隣におまえがいるからって、ヘンに幸せだぞ』



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。