誰もが終わることがないと信じ込んだバブル絶頂期の物語
■作品名迷走王 ボーダー
■作者名
作:狩撫麻礼、画:たなか亜希夫
■巻数
全8巻
■連載雑誌
漫画アクション
■おすすめの理由
安アパート「月光荘」で暮らし、行動を共にする3人(蜂須賀・久保田・木村)が巻き起こす騒動を描いた物語で、1986年から1989年まで『漫画アクション』に連載されました。
ボーダーとは、ボーダーラインのことで、彼ら3人から見て「あちら側」の世界(一般人の世界)と「こちら側」との境界線上のことを指し、3人はその境界線を行ったり来たりと迷走します。
■あらすじ
主人公の蜂須賀は、ぼさぼさの髪に無精髭を生やし、しけ煙を加え、酒に目がなく、喧嘩っ早い粗暴な性格。
ぼろアパート「月光荘」の中でも、家賃3000円という元共同便所に住んでいます。
しかし、過去には小説家としてロングセラーを飛ばし、ひとたび大金を手にするや、それを競馬で莫大な金額に増やす運と度胸、そして、その金の使い方……。
この作品が描かれたのはちょうどバブルの絶頂期でした。
誰もがこの好景気が終わることがないと信じ込んだ時代に、蜂須賀たちはボーダーライン上を彷徨い、「あちら側」の世界を「クソッたれたイメージ社会」と呼んでいたのです。
「無為こそが過激。なにもしないでブラブラしているのがホントは一番のチカラ技」
「夢とロマンを探す思いに駆られて、男は一生フラフラ迷走しなきゃならねえんだ」
バブルという狂想曲がとうに終焉を迎えたいまも、蜂須賀の叫びは続いています。