金利上昇で地合いが良くなってきた国内REIT
不動産、自動車などの個別株とともに、アベノミクス相場を支えてきたのが国内のREIT(不動産投資信託)でした。しかし、その勢いはいち早く落ち込み、今年3月には1700ポイント超えも記録した東証REIT指数は、現在1300台といった状況です。しかし、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは、地合いはいい方向に向かっているといいます。「いかんせん今年1~4月が上がり過ぎました。その反動による調整が今も続いています。加えて、REIT全体が増資をし過ぎています。資金調達の方法としてはコストが安いという利点はありますが、発行投資口数が増えるので1株あたりの利益率が下がります。これが嫌気されている要因です」
それでも、見直される余地として、REITの分配金利回りが上昇し、平均4%を上回るようになった点をあげます。機関投資家などが買いを入れる目安とされるのが、REITの利回りから長期金利(0.8%前後)を引いて3%を超えるかどうか。ここをクリアしているため、今後買いが期待されるというわけです。
「ただし、REITならすべて同じペースで上がるというわけではなく、個々に差が出始めています。好調だった物流施設は現在頭打ち。逆に底固いのが賃貸マンション。今年春先の高値に、年内中にもトライするかもしれません」
投資経験者ならNYダウに目を向けてもいい
では、国内の個別株、ETF、REIT以外で、着目してもいい投資商品はあるでしょうか。「日本株関連の投資信託には、積極的に買いたい思える商品が少ないのが現状です。しいて言えば小型株メインの商品でしょうか。また、ある程度、投資経験があるなら、米国に目を向けてもおもしろい。NYダウのETFやインデックスファンドなど。投資環境の裾野が広いという意味で、米国株の上昇余地はまだあります。さらに、国内で買えるようになったiシェアーズのETFでは、新興国株式のインデックスファンドである〈フロンティア〉が個人的には興味があります。ああいう商品が今までありませんでしたから」
また、外貨に関心があるという人へのアドバイスとして、深野さんはこう付け加えてくれました。
「やはり米ドルは強いと思います。あとは、資源国の外貨として豪ドルの代わりとなるのではと期待しているのがカナダドル。どちらにしても、運用するなら外貨建てMMFがいいでしょう。2015年までは為替差益が非課税ですからね」
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監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー)
取材・文/清水京武 イラスト/竹松勇二 パネル/引間良基