病気の人も同じ保険料で加入できたら不公平
生命保険は、多くの人が保険料を払って加入し、加入者の誰かが死亡したり入院したときなどにお金を出すことで助け合うしくみです。この「助け合いの輪」の中に、すでに病気にかかっている人が同じ保険料で加入できたら不公平ですよね。健康な人と比べて、死亡や入院の確率が高いからです。そこで、生命保険会社では、加入者のリスクが一定の範囲内に収まる「引受基準」を設けて加入者同士の公平性を保ちます。具体的には、「診査・告知」という方法で、現在の健康状態や過去の入院歴、職業などを確認します。「診査・告知」を受けた保険会社が、この健康状態なら契約を引き受けても大丈夫と判断すれば無条件で加入できます。やはり、「保険は健康なうちに入るもの」ですね。
でも、引受基準からこぼれてしまった人、つまり、病気で入退院後あまり時間がたっていない、持病で通院治療を継続している、といった人でも保険加入の扉は閉ざされているわけではありません。その方法としては、下記の3つあります。
■方法1 特別保険料を払う
健康状態のリスクに応じて割り増しされた保険料を一定期間または全期間支払う
■方法2 一定期間の保険金を減額する
加入後の一定期間内(5年が限度)に死亡した場合、経過年数に応じて死亡保険金が一定割合に減額される
■方法3 特定部位を不担保にする
病気にかかっている部位、例えば、胃、十二指腸、すい臓などで入院や手術をしたときは給付金を支払わない(不担保にする)。不担保期間は一定期間の場合と全期間の場合がある
また、こういった特別条件をつけるのではなく、最初からどんな健康状態でも引き受ける「無選択型」、引受基準はあるものの一般の保険より緩くした「引受基準緩和型」と呼ばれる保険が登場しています。医療保険で見ると、最近は、「無選択型」はほぼなくなり、「引受基準緩和型」が増えています。
持病があるからと、いきなり
引受基準緩和型に飛びつかないで!
「引受基準緩和型医療保険」は、読んで字のごとく、引受基準を緩和した医療保険です。リスクのある人で「助け合いの輪」を作るため、普通の引受基準より保険料は割高になります。また、加入後1年以内に入院・手術などをすると、もらえるお金は基本的に半額の商品が一般的です。前段の3つの特別条件の保険料の割り増しと、減額をセットしたような感じのしくみといえます。
引受基準緩和型も、健康状態などを「告知」で問いますが、その項目は保険会社ごとに違い、3~5つ程度と簡略化しています。この告知項目の違いで、引受基準が各社ごとに微妙に異なることがわかります。また、各社で保険料も微妙に異なります。
つまり、引受基準緩和型医療保険は、商品ごとに微妙に異なるので、告知項目と保障内容、保険料を比較したほうがいいということです。
なお、持病があっても、いきなり緩和型に飛びつかないで。飲んでいる薬の種類や状態によっては通常の保険でも加入できる場合があるので、薬を飲んでいる程度なら、まずは通常の保険に申し込んでみて。それで、断られたら引受基準緩和型を検討するという流れにしてください。また、保険料が払い続けられそうな範ちゅうを超えたら、既に加入している保険だけでいいと割り切る、保険はなくてもいいという選択肢もアリです。