ETF/アベノミクスで注目のETFと売買法

高株価銘柄の代用でETFを活用する

2013年6月の消費者物価指数の上昇率は対前年同月比0.4%の上昇となりました。エネルギー価格の上昇、円安を反映したものと言われていますが、耐久消費財の中にも価格が下げ止まる商品が出てきていることも見逃せません。紆余曲折がありながらも、物価は緩やかに上昇していくと考えられていることから、インフレ対応型の資産運用への転換を急ぐべきかもしれません。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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インフレに強い資産は不動産と言われているが……

物価上昇に負けない投資商品は?

物価上昇に負けない投資商品は?

エネルギー価格や円安がその要因とはいえ、物価が上昇したことに変わりはないのですから、デフレ対応型の資産運用からインフレ対応型の資産運用に転換すべき局面にあると思われます。インフレに強い資産としては、昔から「不動産」があげられていますが、実物不動産投資はまとまった資金が必要であることから誰もができるわけではありません。

代替商品としては、J-REIT(不動産投資信託)、不動産株などをあげることができますが、値上がり益期待という意味では不動産株に勝るものはないでしょう。大手不動産株の1社である「住友不動産」。アベノミクス相場の起点である衆議院が解散された2012年11月16日の終値2277円が、2013年4月8日には5110円まで上昇しているのです。しかも、上場来高値である2007年2月の5270円に迫る勢いの上昇だったのです。
正確には2013年の年初来高値を付けた日こそ異なるものの、同期間に三井不動産、三菱地所の株価も2倍以上に上昇しているのです。すべてを調べてはいませんが、実物不動産でもこんな短期間に価格が2倍以上に上昇した物件はないと思われます。

ETFで代用する

大手不動産株は短期間で株価が2倍以上上昇したことから調整を余儀なくされていますが、アベノミクスによる物価の上昇はこれからが本番と言っても過言ではありません。なぜなら、2014年12月末までに年率換算で2%の物価上昇を目標に掲げているからです。

2%上昇達成のために、日本銀行は異次元の金融緩和を行い、また政府は異次元緩和を含む3本の矢と呼ばれる政策を遂行していくのですから、物価の上昇は続くと予想されます。つまり、インフレに強い不動産(株式)の出番は今後も増えると考えられるわけです。

できれば、先にあげた大手不動産株に投資したいところですが、大手不動産株の1単元=1000株であることから、7月30日の終値現在で株価が最も安い三菱地所でも256万2000円の投資金額(売買手数料は考慮せず)が必要になるのです。

最も安い三菱地所でも簡単に投資ができる金額ではないことから、代替商品として業種別のETFを活用すればよいのです。業種別ETFの不動産は2銘柄が上場されていますが、流動性(売買高)を考慮すれば、野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信」(1633)がよいでしょう。

同ETFは1株単位で売買することができるため、7月30日の終値では3万1650円から投資することができます(売買手数料は考慮せず)。しかも、同ETFの組入銘柄の構成比を見ると、三菱地所32.48%、三井不動産24.89%、住友不動産17.06%と大手3社で74.79%も占めています(2013年6月28日現在)。

つまり、「NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信」の価格変動の74.79%は大手3社の株価で説明できることになるわけです。大手3社の株価が2倍以上になった期間に同ETFの価格も2倍以上になっていることから、価格の連動率は非常に高い=代替商品として十分活用できるでしょう。

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