世界は30年ぶりの「ニットブーム」
ケストラー・ベルンドさん ドイツ出身のニット作家
東日本大震災の被災者のための編み物慈善活動「Knit for Japan」を立ち上げ、ウェブ上で国内外のニットファンに呼びかけるケストラー・ベルンドさんは、ドイツ生まれの男子ニットオタクだ。首都圏を拠点に編み物教室やワークショップを通して普及啓蒙活動に取り組む一方、日本伝統の合気道に入門して自己研鑽に励む。
日本に移り住んで15年。
「編み物」と「日本」が大好きなベルンドさんの、ライフワークの一端を紹介しよう。
■〈Knit for Japan〉 世界中から支援のニット作品
「偶然のきっかけがKnit for Japanの呼びかけに結びつきました。
2年4ヶ月前、震災が起こる2~3日前にドイツの友人から3ヶ月遅れるクリスマスプレゼントが届きました。毛糸で編んだ帽子と毛糸が詰まっていました。私が子供の頃から編み物の好きなことを知っている友人からのプレゼントでした。
このタイミングに何故、私の手元に毛糸が届いたのか。色々考えた末に、毛糸で編んだもので東北の被災者の方々を助けなさいという、神様のお告げと理解することにしました。
現時点で20cm×20cmサイズで5,500枚ほど、毛糸で編んだモチーフが私の手元に届いています。
日本のニットファンはもとより、アメリカや中南米、ヨーロッバ各国、シンガポールなどアジア諸国、オーストラリア、ニュージーランドなどの南半球からも作品が寄せられています。
しかし、私の目標の7,150枚の73%にしか達していません。
ギネスブックに登録されている最大のブランケットが286平方メートル。
そのサイズを凌駕するには7,150枚以上が必要で、なお支援の継続を呼びかけているところです」
デュッセルドルフ大学の日本語学科を卒業したベルンドさんが日本にやってきたのは1998年。
インテリアのデザイン会社に就職、日本での営業活動が彼に課せられた任務だった。
2年後、アメリカの家具メーカー・ハーマンミラーの日本法人に転職。
更にイタリアのオートバイメーカーの日本法人に転職。
編み物とともにもう一つの趣味である「オートバイク」乗りに点火したのが、この転職だったかどうかは聞き逃した。
国内中心にオートバイで120万kmを走破しているというから、ただのバイク気違いではない。
「明日から1週間ばかり休みが取れるので能登半島を一周し、友人のいる佐渡に行ってきます。能登では友禅染めや陶器を見てきます」。
勿論、疾走するオートバイがベルンドさんを駆り立てずにおかないのだ。