投信積立で時間も商品も分散してリスクを軽減
投信積み立てでインフレに備える
藤川太さんは、こうアドバイスします。損をしたくないのは、価格が変動するリスクに対する許容度が低いことの表れです。これを専門用語で「リスク許容度が低い」といいます。
「リスク許容度が低い人はもちろん、投資経験のない人も、まずは毎月一定額ずつ投資信託を買い付ける『投信積立』からはじめるのがいいでしょう。投資信託は、口数単位で購入できるので、毎月一定額ずつ購入すると、基準価額が高い時には口数を少なく、安い時には多く買うことになり、購入単価を平均化し、高い値段でたくさん買ってしまうリスクを軽減することが期待できます」
投資積立は、ネット証券や銀行などで扱っています。一度手続きをすれば、あとは自動的に口座などから引き落として買い付けてくれるので、手間暇もかかりません。金融機関によっては月々500円など少額から積立をはじめられる手軽さも魅力のひとつです。
インフレに強い投信を積み立てる!
実際に投資する際は、どんな投資信託を積み立てるのがいいのでしょうか。藤川さんは「インフレに強い金融商品に投資すべき」と強調します。「金融緩和をすると、お金の価値が下がる一方で、資産インフレといい、株や不動産、商品(コモディティ)などの価値も上がります。一方、債券は金利が上昇するため、価格は下落する。ここから、株や不動産に投資するものがいいでしょう。また、日本銀行の積極的な金融緩和によって円の価値が下り、円安が進む可能性もあります。とすれば、外貨投資も考えられます」
そのなかでも魅力があるのは、株と不動産に投資する商品だと藤川さんはいいます。
「日本株の投資信託もいいですが、今後の経済成長に加え、円安が進んだ時に為替差益も期待できる新興国は魅力があります。ただし、日本株より価格変動は大きくなるので、自分のリスク許容度に見合うかどうかを考える必要はあるでしょう。不動産は、不動産価格の上昇が見込め、複数国の不動産に分散投資する海外の不動産投資信託(グローバルリート)が面白いと思います。なお、コモディティに投資する投資信託もありますが、価格変動が大きいうえ、値上がりする局面では株の値上がり幅に比べると見劣りすることも多い。そのあたりも考慮したほうがいいかもしれません。外貨に投資するのなら、資源国でもあるカナダドルが面白い。オーストラリアも資源国ですが、中国との関係が深く、中国の経済動向に左右されやすいことも覚えておきたいものです」
藤川さんが選ぶ、投信積立で活用したい商品は、以下の通り。資産運用をはじめる際の参考にしてみては?
◆国内株式投信
MHAM株式インデックスファンド225
SMT TOPIXインデックス・オープン
◆海外株式投信
SMT グローバル株式インデックス・オープン
朝日Nvest グローバル バリュー株オープン
SMT 新興国株式インデックス・オープン
◆グローバルリートファンド
SMT グローバルREITインデックス・オープン
フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
◆外貨商品
豪ドルMMF
カナダドルMMF
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監修/藤川太(ファイナンシャル・プランナー) 取材・文/大山弘子
イラスト/竹松勇二 パネルデザイン/引間良基