積極的な事業投資で工場拡大
規模が拡大しているので、天虹紡織の売上高は継続的に伸びています。ただ利益のほうは綿花の市況価格に振り回されるように大きく揺れ動いています。バランスシートは自己資本比率45%程度を維持し、長期の借入金を中心に負債もある程度多く持つ構造です。短期に返済要の資金は少ないので、短期的な圧迫感はありません。
工場拡大による積極的な事業投資が見られます。2013年度の中国およびベトナムにおける総設備投資額は9億8000万人民元を予定していますが、営業からのキャッシュフローが十分出ているので、問題ないと思います。
株価のほうも長期的に見れば乱高下という様子です。リーマンショックで0.26香港ドルまで落ちた株価は、2011年3月までに8.45香港ドルへと猛烈上昇しました。しかし、商品市況高とギリシャショック、中国株相場急落の重なった2011年(百年ぶりの綿花価格の市場最高値突破などもありました)は、10月に1.55香港ドルまで急落しています。その後2012年前半に3.66香港ドルまで急回復したあと、いつものパターン通りカップ・ウィズ・ハンドルを形成し、年後半にこれを上に出来高増してブレーク、その後は定石通り一段高(現在12香港ドル台)となってきました。この上昇中に利益率の急回復、ROEの劇的な増加(2.9%→21.0%へ)が見られ、株価急上昇と整合性があります。
短期的には上昇トレンドも、長期的にはサイクル性を考慮したい
すでにピークを迎えた中国繊維業界は人件費高騰もあり、価格勝負の産業であるなか、次第にその競争力を失いつつあります。その中で紡績最大手の天虹紡織は、海外生産拠点の増設で持続的な成長が予想されます。そして利益は内外原料価格差によって2012年に劇的に改善し、2013年も良い流れが続いています。高い成長率とROEが予想され、株価も1年で4倍以上となり、なお高値を更新中です。短期的にはどこまで伸びるか楽しみですが、一方長期的にはベストの買い入りタイミングではないと思います。昨年末に一大ブレーク(カップハンドル型からの上抜け)を果たしたあと、すでに4回も10週移動平均線で反発上昇が続いています。この10週線でのリバウンドは、その初期段階ほど確率が高く有効であり、その後数が多くなるほど同線での反発力が疲弊していくものです。
しかしもっと長い目で見ればこの銘柄は覚えておく価値が高いと思います。なぜなら同社の利益や株価は数年おきに上下に大きく揺れ、ボラティリティの非常に高い銘柄であるからです。その大揺れの元は変動の激しい商品市況(綿花価格)であり、今でこそ安値で推移していますが、いずれまた高騰するでしょう。その時に株価が下がると再び長期的な買いチャンスとなりえます。
売上高のほうは工場拡大、シェア拡大で持続的に増えていくと思いますが、利益と株価は数年周期で大きく上下する性質のある銘柄です。短期には元気なので上昇の勢いはありますが、長期にはサイクル性を考慮したい銘柄です。
参考:中国株通信
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