雑貨/インテリア雑貨関連情報

神保町に51% Tokyo(五割一分 東京)オープン

5月29日に神保町にオープンした新しいスペース「51% Tokyo(五割一分 東京)」。51%と書きますが「ごわりいちぶ」と読みます。意味深な名前。思わせぶりなような、近付き難いような。そもそも店なのかギャラリーなのか、はたまた事務所なのか?? このスペース自体どういう存在なのか、まるで謎です。呪文でも唱えるように店名をつぶやきながら、その場所を訪ねました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

建築から空間デザイン、グラフィック、雑貨まで暮らしにトータルに関わる

神保町といえば、古本屋街であり、学生街であり、今もなお老舗の喫茶店やカレー屋さんがひしめき、東京の中心にありながら、めまぐるしく新しい、というよりは、変わらない落ち着きを持った文化の街、というイメージがあります。その神保町駅から5分ほど歩いた静かな街角に、ふと目を留めるような、凛とした佇まいの空間がありました。古本探しに夢中になるうちに、どこか異国の風景を写した写真集の中へ紛れ込んでしまったか、と思わせるような、印象的な窓辺の様子。しかしながら外から見ても、やはり店なのか何なのか、なんとも説明がつきません。そして51%(ごわりいちぶ)という名にも謎めいた風情を感じます。

はっと惹付けられる外観です

はっと惹付けられる外観です


51%の本社は富山県にあります。実は社名の由来はとある陶芸家の言葉。「美しいか否か?なんてのは、ほんの些細な違いだよ」「いつも五十一対四十九でせめぎ合ってるよ」「だから僕たち創り手は、ほんの些細なその一パーセントに魂を込めて、その一パーセントに願いを託すんだ」

建築、内装デザイン、グラフィック、インテリアや雑貨のコーディネート・販売など、51%の活動は幅広く多岐に渡ります。心地よく美しい暮らしにまつわる様々なことに関わり、独自のセンスと思考で場を作り上げていく。51%のつくり出すものは、一言にデザインとも言い切れない、自然体で押し付けがましさがなく、しかし底辺に一本揺るぎのない統一された感覚があるような、清々しい緊張感を感じます。この場所をふらりと訪ねたお客さんから出て来た言葉は「主張のない主張」。ゆるりと心を解して寛いでいるうちに、気づいたらアカデミックな会話が熱心に交わされていた、そんな空間を創れたら嬉しい、と店主は語ります。

ルイスポールセンのライトが印象的。スルガ銀行による、家具を分割払いで購入できるインテリアローンも導入

ルイスポールセンのライトが印象的。スルガ銀行による、家具を分割払いで購入できるインテリアローンも導入しています


店主の三浦哲生さんは以前、東京のインテリアショップに勤務し、商品管理を始め物販に長年携わっていました。その一方で20代の頃は、尊敬するクラフトバイヤーの知人にくっ付いて、各地の作り手に会いに行ったりしていたそうです。さらに311の震災後は「わののわ」というイベントを発足し、全国の作り手、売り手から集めた、普段使いできて日常を楽しめる器を、被災地の使い手へ届ける、という活動を行っていました。それらの経験から「ものをつくり、売る」ということへの意識が、大きく変わったと言います。「同じ“もの”でも、記憶と一緒にすることによって、それは心に残る“こと”に変わるんですよね。そこに気づけたことは自分にとって大きな発見でした」。

氷見のワイナリー、SAYS FARMのトータルデザインも行っています(ワインは残念ながら未販売)

氷見のワイナリー、SAYS FARMのトータルデザインも行っています
(ワインは残念ながら未販売)


三浦さんはインテリアショップを辞めた後、次の就職先も決まっていたそうですが、以前から惹かれていた富山の51%を訪ね、そのまま代表と意気投合し、気づいたら就職先も蹴って東京店の立ち上げに関わっていたとか。神保町は古本屋街として100年以上の歴史を持ち、これだけ本屋が密集する地域は世界中でもここ神保町だけ、街としてこれからのポテンシャルを強く感じる、とのこと。「この建物も元々は本屋でした。外から見たらちょっと尖ってるようにも見えるこの店ですが、近所の鰻屋さんがお惣菜を持ってきてくれたりして、飾らず、人の緩やかなつながりがあり、気のいい雰囲気が残っている街だなあ、と思いました。」

角田陽太氏のセレクト。分度器に懐中電灯、懐かしい!

角田陽太氏のセレクト。分度器に懐中電灯、どこかお茶目な雰囲気漂う品揃え
 

人がゆるく集まり、つながりが生まれる場所

家具や雑貨の販売をし、建築やインテリアを提案する空間としても見せられ、ギャラリーだったり事務所だったり、ただ人が集まって雑談するための場所でもあったりする。一見何屋か分からないくらいがいい、というこの場所。古いもの、新しいもの、クラフト、書籍など、様々なものを分け隔てなく独自の視点で編集し、ものだけでも空間だけでもなく、普段を心地よく過ごすライフスタイルをトータルで提案するため、あまり縛られず様々な仕掛けをつくっていきたいそう。現在はオープニングとして、プロダクトデザイナーの角田陽太氏、Roundabout・OUTBOUND店主の小林和人氏、デザイナーで“さる山”店主でもある猿山修氏の3人の見立てにより、窓際の棚をギャラリーとしてそれぞれの商品をディスプレイ、展示販売を行っています(6月25日(火)まで)。今後も、作家の展示もあれば、自分たちの企画、また誰かのセレクトなど、自由に様々な形態で展開していきたいそうです。

小林和人氏のセレクト。ガラス、土もの、道具がぎっしりと

小林和人氏のセレクト。ガラス、土もの、道具がぎっしりと


猿山修氏のセレクト。きりりと引き締まった雰囲気

猿山修氏のセレクト。きりりと引き締まった雰囲気


私の前に取材に来たライターさんが「ここをどうやってまとめたらいいのか、難しいなあ」と話していたとのこと。自分で書いたものを見直してみても、やはり何の店だか場所だか、まるで表現できていないような気がします。申し訳ないのですが、このモヤモヤした謎はぜひ自身の目で確かめてみて下さい。
ちなみに店のすぐ近所には、老舗の美味しい和菓子屋「御菓子処さゝま」があります。また少し歩いた先にあるパイとタルトの店「STYLE'S CAKES & CO.(スタイルズケイクス)」もおすすめですので、よかったら合わせてどうぞ。

51% Tokyo(五割一分 東京)
東京都千代田区神田神保町1-37 1F
TEL 03-5577-6293
5wari1bu.jp

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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