古民家/古民家探訪

古民家再生の事例に見る 古民家の魅力

「古民家」が、テレビや新聞などで話題になることが多くなるなど、ひそかなブームになっています。そこで、古民家に魅せられて、自ら古民家を再生された方の事例をもとに、古民家の魅力について考えてみたいと思います。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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古民家とは? 古民家の魅力とは?

「古民家」に明確な定義はありませんが、一般的に、建築後50年以上経った民家を、古民家と呼んでいるようです。ひとくちに古民家といっても、農村の民家や町民の民家、武家の民家、庄屋屋敷などのタイプがあり、それぞれの生活様式による違いもあります。

日本の伝統的な構法で建てられた古民家は、骨組みとなる柱や梁などの木材、茅葺などの屋根、土壁や漆喰など、日本の風土や生活に根付いた自然素材でできています。そこには、様々な先人たちの知恵が生かされており、地産地消や再生可能などのエネルギー面から見ても、優れた住宅といえるでしょう。

また、趣のある古材や風格のある外観、自然環境と調和した街並みなど、日本の伝統的な美しさという点も、古民家の大きな魅力でしょう。

築100年の古民家再生に取り組んだ長谷川さんの事例

長谷川和男さんも、古民家に魅せられた一人です。1980年代半ばころから、全国の伝統的な古民家を見て歩くようになり、その素朴な美しさにひかれて、写真を撮り始めたといいます。一方で、こうした美しい古民家が残されずに無くなっています。そこで、民家を守る活動をするために、NPO法人日本民家再生協会の設立(1997年)メンバーの一人にもなりました。

再生前

移築を決めた、明治44年に建築された新潟県上越市の古民家

自分だけでも古民家を再生利用しようと思い立ち、長谷川さんの古民家再生の物語が始まります。2008年に山梨市に土地を購入し、2009年に移築する古民家と出会いました。明治44年(1911年)に建築された、新潟県上越市に残る古民家でした。その古民家を約2週間かけて解体し、解体した古材、石、建具などを再生の地山梨市に運び入れ、2010年の年明けから再生のための工事に着工しました。


そして、2011年4月、古民家の解体から1年半後に、築100年の古民家が再生され、「杣口の閑居」と名づけられました。
全景

古民家再生住宅「杣口の閑居」外観全景

土間

玄関上がり口



写真提供:長谷川和男さん

>次ページからは、古民家の再生で快適に暮らすための工夫について見ていきましょう。
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