古民家再生の方法は4通り

古民家の再生には、大きく分けて、古民家が建っている場所で再生する「現地再生」、すべて解体して別の場所に運搬して再生する「移築再生」、古民家の部屋単位を新築と組み合わせて再生する「部分再生」、構造材の一部として再生する「古材再生」の4通りがあります。

長谷川さんの場合は、移築再生ではありますが、室内の間取りや設備を変更したり、土間を大きくしたり、屋根を切妻から入母屋造に変えたりして、新しい材も組み合わせています。ただし、木材は原則として国産材や地元産材を使い、無垢の木、紙、漆喰、珪藻土や自然素材塗料などの材料を使うといった基本方針を立てていました。
内観

客間、仏間、囲炉裏の間、縁側的な用途を持っていた下屋和室の4部屋を、区切らずに1つの大きな空間として使う一方、黒竹で造作した可動式の壁面で区切ることにより多様な使い方が可能に



壁

黒竹の可動壁

「民家再生工事では、元の造作を安易に変更することはあまりすべきではありません。しかし、一方で元の建物の基本的な構造や良さを生かしつつ、明確なコンセプトのもとに大胆な空間造作を試みることは古民家再生の醍醐味でもあります」と長谷川さん。

ロフト

屋根の形状を変えて上に上げることで、ロフトを設けることができた



古民家再生の際に、快適に暮らすための追加の設計も

古民家再生住宅で快適に暮らすためには、寒さ対策が欠かせません。「徒然草」にあるように、古民家は「夏を旨とすべし」で造られているので、夏は風通しが良く涼しいのですが、反面冬は寒くなります。そこで、自然素材にこだわる長谷川さんは、床下に古紙断熱材、天井・壁面に天然ウールを断熱材に使いました。窓には、複層ガラスの木製サッシを採り入れ、さらに外部に接するすべての窓に障子を設置し、住まいの断熱性を高めました。

また、地盤調査を行い、それに応じた耐震設計にも配慮しているそうです。古材の強度が気になる人もいるかもしれませんが、構造体となる古材は、長い時間をかけて自然乾燥して強度を増していきます。古民家再生住宅は、良質な木材をふんだんに使った、耐久性に優れた住宅という見方もできるでしょう。


長谷川さんの事例のように、古民家に残る先人たちの知恵に学びつつ、現代のライフスタイルに応じた工夫を加えることで、古民家の良さと快適な暮らしを得ることが可能になります。古民家は、先人たちの知恵を再評価する機会を与えてくれるともいえるでしょう。

写真提供:長谷川和男さん

■長谷川さんのブログ「古民家再生物語」
http://waso.sblo.jp/

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