目標額を達成できたら、いったん積立をやめてみる
目標額を達成するまで積立を続ける
「確かに、このタイミングで投信積立を始めたら高値づかみをしないかと心配になるかもしれません。ですが、投信積立は、基準価額が高い時には少なく、安い時には多い口数を買えるという特徴があります。スタートするタイミングにはあまり固執しないほうがいいでしょう」(篠田さん)
また、目標額が100万円なら100万円を作れるまでは、相場が大きく動いても「売ることは考えなくていい」ともいいます。
「100万円くらいまでなら、積立を始めた当初と各資産ごとの比率が変わってきても、それほど気にする必要はありません。つまり、リバランスはあまり考える必要がありません」(同)
ただし、100万円という目標を達成できたら、いったんそこで利益確定をし、積立をやめる勇気も必要だとも。
「利益確定することで、お金が増えたことが実感でき、資産運用を続ける自信もつくでしょう。20~30代の人なら、100万円の一部を使って欲しかったものを買ったり、旅行に行ったりして、お金が増えたことを文字通り実感するのもいいかもしれません」(同)
利益確定後はステップアップ!
とはいえ、全額を使いきってしまうのは考え物。使うのは、多くても半分程度にとどめ、残ったお金を元手に次の投資をはじめましょう。「次の投資を始める時には、マーケットの動きにも慣れ、経済や金融の知識も増えているでしょう。インデックスファンドを積み立てるだけでなく、マーケットの動向を見ながら個別株やETFで少し短いタームの投資をしたり、アクティブファンドで超過収益を狙うことに挑戦するのもひとつの方法です。『今後は中小型株がよさそうだ』とか『新興国が期待できる』と思えば、中小型株や新興国株の比率を増やすということも考えられます」(篠田さん)
なお、投資信託も、その時々で人気のあるものが変わります。表でもわかるように、昨年(12年)1-3月と今年の1-3月とでも、資金流入の多い(=人気のある)投信の顔ぶれが大きく変わっているのです。
「短期的に投資するならともかく、投信積立では、その時々の人気があるものに飛びつくのは考え物です。また、通貨選択型のファンドやオプション取引を組み込んだ投信は、そもそも中長期で保有するものではありませんから、積立には向きません」(同)
これらの注意点を守りつつ、投信積立でじっくり、かつ着実に資産を増やしていきましょう。
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教えてくれたのは……
篠田尚子さん
リッパージャパン シニアリサーチアナリスト
慶應義塾大学法学部卒。国内銀行にて投資信託、変額年金保険などの個人向け資産運用相談業務を担当。2006年リッパー・ジャパン(トムソン・ロイター・マーケッツ)入社。投資信託のデータ分析を担当した後、現職。
監修/篠田尚子(リッパージャパン シニアリサーチアナリスト) 取材・文/大山弘子
イラスト/竹松勇二 パネルデザイン/引間良基