ちょうど「江南スタイル」がヒットしていた昨年の秋、僕がたまたまハワイにいたので、現地の人々に「江南スタイル」のどこが面白いのかと質問したところ、ほとんどの人が「歌詞は良くわからないけど、頭に残るフレーズとダンスが面白い」と答えていたのが印象的でした。
そう「何だかよくわからないけど、面白い!」。これが「江南スタイル」のヒットの最大の要因だったんですね。これはかつて世界を席巻したLos del Rioの「Macarena(マカレナ)」のヒットにも共通しているのではないでしょうか。

マカレナ MV
http://www.youtube.com/watch?v=XiBYM6g8Tck

その点で残念だったのは、今回の新曲は明らかに“世界”を意識して作った感が、至る所で感じたこと。それは歌詞の中での英語の使い方しかり、そしてミュージック・ビデオも世界観は「江南スタイル」と踏襲していたり・・・と、とにかく目新しさがない・・・つまり、あえて冒険を避けたような感じがします。つまり、120点か0点かを狙った賭けには出ず、80点を意識した作りをどう評価するかで、この曲の評価は変わってくると思います。

僕は個人的に、決して今回の新曲自体は、悪くはないと思います。PSYらしい遊びに富んだリリックとリズム。これは韓国の音楽界では、彼だけが持つ唯一無二な“スタイル”といっていいでしょう。ただ、「江南スタイル」がメジャー進行だったのに対し、今作はマイナー進行である点は、大衆的なヒットを望むうえで1つの壁になることは間違いありません。

そしてミュージック・ビデオは・・・個人的には面白くありませんでした。“Gentleman”とは相反する“非Gentleman”な行動を繰り返すという演出パターンは、高貴な“江南”のイメージを裏切った「江南スタイル」のミュージック・ビデオを踏襲しているだけですし、オマージュ的に出演している芸人たちも、韓国の人から観れば面白いかもしれませんが、外国人のツボにはハマらないでしょう。
それよりなにより、Brown Eyed Girlsの「Abracadabra」でお馴染の小生意気ダンスをベースにしたダンス・パフォーマンスを、Brown Eyed Girlsのメンバーであるガインを登場させて、彼女に前作「江南スタイル」のヒョナ(4Minute)の役割を担わせたことに、今作の“限界”を僕自身、感じてしまいましたね(もちろん“何か”を狙ってやっていることは理解できますが・・・)。

今回の新曲リリースで最大の恩恵を受けるのは、PSY本人も記者会見でちらっとその可能性を言及していましたが、何といってもBrown Eyed Girlsであり、名曲「Abracadabra」ではないでしょうか。

Abracadabra MV
http://www.youtube.com/watch?v=ofwFr8o8p0Y

果たしてこの新曲、世界ではどう評価されるでしょうか。You Tubeの再生回数や、Itunesのチャートでは判断せず、“流行”という枠組みで評価するには、もう少し、時間が必要かもしれませんね。


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