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韓国を知らない一日本人を韓国に向かわせた1枚のCD

韓国のポピュラー音楽の多くをまだ知らなかった1人の日本人に、その質の高さを気づかせてくれた名盤があります。初めて貸してもらった、韓国のあるCDを聴いたあの瞬間を今でも忘れられません。そんな特別な一枚をご紹介します。

執筆者:古家 正亨

K-POP名盤紹介 第1回 Toy『Toy2』

今回、All Aboutさんでガイドとして活動を始めるに当たって、最初の記事の内容をどういったものにしようか、かなり悩みましたが、やはりK-POPの扉をすでに開けた方がご覧になる方が多いと思い、多少、マニアックな話が良いかと思い、まずは、僕自身のK-POPとの出会いについてお話ししようと思います。

そもそも大学を卒業し、自身の専攻だった音楽療法をさらに深く学びたいと思い、カナダに留学したのですが、留学した97年当時、韓国は空前の留学ブームだったようです。僕の入学した大学のクラスメートは、韓国人でその多くが占められていました。

海外旅行の自由化が定着し、国として成長著しかった当時の韓国。その勢いを象徴するように、海外でキャリアを重ね、後に本国に戻り、母国に貢献したいという愛国心のある若者や、一方で韓国に息苦しさを感じ、とにかく外に出たかったという人まで、様々な韓国人留学生と出会い、そして彼らから韓国という国の魅力や、本当の韓国の姿、そして、面白さを教えてもらいました。
その数ヶ月後、誰もが予測できなかった韓国の国家破産状態、通称“IMF危機”が訪れることになるのですが・・・。

でも、彼らを通じて知った“韓国”で何より驚いたのが、韓国のポピュラー音楽の質の高さでした。
彼らに出会う前までは、僕自身、韓国の音楽=チョ・ヨンピル、キム・ヨンジャ、桂銀淑というイメージしかなかったため、初めて貸してもらった、韓国のあるCDを聴いたあの瞬間を今でも忘れられません。
そのアルバムが、Toyことシンガーソングライター、ユ・ヒヨルのセカンドアルバム『Toy2』です。何がどうすごかったのか・・・。これを言葉で表現するのは難しいのですが・・・。
例えば、よくありますよね?こんな瞬間・・・。
”ラジオを聴いていて、偶然耳に、そして心にスっと入ってくるそんな音楽との出会い・・・“
僕にとってToyとの出会いが、まさにそんな“出会い”だったのです。

Toy第2集

Toy第2集


94年結成のユニットToy

Toyことユ・ヒヨル。
現在では、ユ・ヒヨルのソロ・プロジェクトの名前を”Toy”と言っていますが、そもそも、94年にソウル大学の作曲科出身の彼とスタジオ・エンジニアだったユン・ジョンオの2人によるユニットとして結成したのが“Toy”だったんですね。

ソロプロジェクトになってからは、ユ・ヒヨルは、自分でほとんどヴォーカルをとらずに、フィーチャリング・ヴォーカリストを多用して、(他国のアーティス トでいうなら、クインシー・ジョーンズのように)プロデュースに徹しているのですが、そんな彼らのデビューアルバムは、今となっては貴重な、彼ら自身の ヴォーカルによる楽曲を中心に構成されています。

とは言っても、タイトル曲はシンガーソングライターのチョ・キュチャンがリードヴォーカ ルを務めた「私の心の中に」だったのですが・・・。幻想的なトラックに、彼のジャジーなヴォーカルがマッチした、ニュー・ミュージック系の聴きやすいナンバーで、これがなかなかの完成度。
そして、「日の光照らす日」という曲が収録されているのですが、この曲は、“あの“お騒がせ騒動 でおなじみの歌手キム・ジャンフンのデビューアルバムに収録されて話題となった1曲を、曲を提供したユ・ヒヨル自身がリメイクした1曲で、彼の歌うという より吟ずるヴォーカルが、曲の雰囲気に合っていました。


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