ブランドを支えるFFコンパクトへ
“新世代スポーツコンパクト”として7年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたコンパクトハッチ。1.6リッター直噴ターボを積むA180 BlueEFFICIENCY (284万円)とA180 BlueEFFICIENCY スポーツ(335万円)、2L直噴ターボのA250シュポルト(420万円)をラインナップ。A250はAMGが開発から参加したハイパフォーマンスモデル
たしかに、BクラスはAクラスをしのぐ人気モデルに成長した。けれども、このあまりに便利な“ベンツ”は、その使い勝手の良さゆえ、ひとつのカテゴリー=ファミリィベンツとして収束してしまったきらいがある。Bクラスユーザーは、Cクラスに発展することなく、またBクラスを、もしくは類似のユーティリティモデルを選ぶ。(当然ながら)ダウンサイザーで、特にそれは顕著な傾向だ。
であれば、Bクラスにはその稼げるマーケットを単独でカバーしてもらって、キャラの似通った、けれどもBより“不便”なAクラスのイメチェンを図った方が得策じゃないか……。
というわけで、新型Aクラスは、Bクラスをベースとしながらも、いわゆる欧州Cセグメントのハッチバック車と真っ向勝負のFFコンパクトカーへと、大転進を図ったのだった。
逆にいうと、Aクラスを、ブランド全体の出発点として再定義することで、そこからの派生モデルも展開しやすくなる。デビュー順序は逆だったが、Bクラスはそのひとつだし、FF初のAMGモデルA45や4ドアクーペのCLAを筆頭に、FFメルセデスの登場が今後、3~4モデル予定されているという。そのラインナップはVW並みともウワサされている。これらは、成熟市場のみならず、新興マーケットにおける旺盛な需要を満たす有効なツールとなり、グローバル市場でメルセデスブランドの裾野を拡げていくことになるだろう。
つまり。Aクラスは、これからの10年、否、20年のメルセデスブランドを支える、とても重要な役割を担っているのだった。
内外装デザインも“スポーツ”仕立て
ボディサイズは全長4355mm×全幅1780mm×全高1435mm(スポーツ 1420mm)、ホイールベースは2700mm。旧型より405mm長く、160mm低くなっている(ベースモデル比)。スポーツは全高を15mm低くし、スポーツサスペンションを装着
インテリアもメルセデスラインナップの中ではSL系の純スポーツラインナップに次ぐ溌剌とした雰囲気だ。基本的にBクラスのモチーフやディテールを応用するが、ヘッドレスト一体型のシートなど、このクラスにはあまり馴染みのないスポーティな趣向が採り入れられている。