アセアンへの投資手段は、個別株、ETF、投資信託
ところで、アセアンに投資する商品にはどんなものがあるのでしょうか。「当社の場合は、アセアン4カ国の個別株のほか、アメリカや香港、シンガポール、そして日本の証券取引所に上場するETFを通じて、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムの指数に投資することができます。また、投資信託であれば、アセアン地域全般のほか、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイなどの国をターゲットにした投資もできます」(新井さん)
この3つの商品の使い分け方について、新井さんは、「積極的に値上がり益を追求するなら個別株、個別株を選ぶ自信がない人や国全体に投資したい人はETF、日本円での投資や少額から投資を始めたいなら投信積立」を勧めます。
「投信積立ならば月々1000円から投資できるので投資の初心者にも向いています。積立を続けて、まとまったお金になったら、信託報酬などのコストが安いETFに乗り換えるという方法もあります」
今後は共同体の発足とエネルギーが
次のアセアン投資のテーマに
では、今後のアセアン株投資では、どんなテーマが注目されるのでしょうか。「まずは、何と言ってもアセアン共同体の発足です。2年後の2015年に発足予定のアセアン共同体は、人口規模ではEU(欧州連合)を上回る巨大な地域経済統合体です。これにより加盟10カ国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー)の間でヒト・モノ・カネが自由に行き来できるようになることで、地域全体がさらに成長することが期待されています」
世界的なテーマであるエネルギーも、アセアン株投資のヒントになるとも。
「アメリカでシェールガスの採取が始まるなど、今、世界中でエネルギー戦略の見直しが行われています。アセアン諸国も高成長が続けば、今まで以上にエネルギー消費が増えることから、エネルギー確保が大きな課題になることは確か。そこにどんな銘柄が関連するのか、どこに投資妙味があるのかを調べ、積極的に情報提供していきたいと考えています」
教えてくれたのは……
新井党さん
楽天証券マーケティング本部副本部長
大手証券会社での北京、香港駐在経験などを経て、2004年に楽天証券入社。外国株式に精通する。2006年に大手ネット証券で初めて取扱を開始した海外ETFは、業界最多の取扱本数を誇る。
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取材・文/大山弘子 イラスト/竹松勇二 パネルデザイン/引間良基