業務独占資格と名称独占資格
社会福祉士の業務は、社会福祉士以外でも行うことができる業務です。したがって社会福祉士の資格は、名称独占資格とよばれます。たとえば、弁護士の仕事を弁護士でない者が報酬を得て行うと弁護士法違反の非弁行為として罰せられますが、これは弁護士という資格が、業務独占資格であるからです。
しかしながら、社会福祉士の資格がない者が生活上の相談等の福祉に係る相談を有償で行ったとしても罰せられることはありません。それは、社会福祉士が名称独占資格だからです。
なぜ、社会福祉士は業務独占資格ではないのでしょうか。
社会福祉士という資格が法制化され、初めての社会福祉士の国家試験が行われたのが平成元年ですが、もちろんそれ以前からソーシャルワークという業務は存在していました。福祉の機関や施設等はこの社会福祉士が登場する以前から当然あったのは言うまでもありません。
そして今も、社会福祉士の資格をもたない多くの人が社会福祉士の業務とされる仕事を行なっていることで、援助の必要な人にサービスが提供されているのです。その点から、社会福祉士の業務をすべて業務独占としてしまうことは不可能なのです。
社会福祉士の専門性と職種
名称独占資格とはいえ、社会福祉士の高い専門性は明らかです。社会福祉士が国家資格であることが、その専門性を裏付けているともいえるでしょう。その専門性を用いた社会福祉士の活躍する職種は様々です。高齢者福祉の現場では介護保険施設における生活相談員、障がい者福祉の現場では障害福祉サービス事業所の生活支援員、児童福祉の現場では児童養護施設等の児童指導員、その他、低所得者福祉やスクールソーシャルワーカーなどの教育現場、行政機関など幅広い活躍の場があります。また、最近では刑務所や少年院といった矯正施設など司法の現場にも活躍の場が広がっています。
最近では、行政職や地域包括支援センターなどで社会福祉士を雇用するという場合も増えてきており、徐々にですが業務独占化が進んでいます。
また、独立型社会福祉士事務所を構え、相談援助や成年後見の業務を行う社会福祉士も増えてきています。