買った電子書籍が読めない!?
読みたい電子書籍を探して色々な電子書籍書店を見て回っていると、商品ラインナップが異なることに気が付きます。例えば、ガイドの好きなコミックの『帯をギュッとね!』はSONYのReader Storeでは販売していますが、Kindleストアでは販売していません。(2013年1月4日現在)
- Reader Storeで販売中の『帯をギュッとね!』
答えは、転送できません。自分の所有している端末で、自分が購入した電子書籍が読めないという事態が発生するわけです。
これは、電子書籍を扱う電子書店ごとにDRM(Digital Rights Management:デジタルデータの著作権管理技術・手法)が異なるため、電子書店に紐付く端末やアプリ以外の電子機器で電子書籍が読めないようになっているからです。
電子書籍書店毎に異なるDRM
紙の本ではどの書店で本を買っても、書店に関係なく本を読むことができます。電子書籍の場合はDRMが各書店で異なっているため、購入した電子書籍書店のサービスに紐付く端末やアプリでしか読めません。つまり、Reader Storeで購入した電子書籍は電子書籍端末ReaderやReaderアプリで読むことができ、Kindleストアで購入した電子書籍は電子書籍端末Kindle PaperwhiteやKindleアプリで読むことができます。
先ほどの『帯をギュッとね!』はSONYの電子書籍書店ReaderStoreで購入したので、SONYの電子書籍端末ReaderシリーズやAndroid端末向けReaderアプリ、PlayStation Vita向けアプリで読むことができます。
このように書店ごとに異なるDRMを採用しているため、各電子書籍書店サービスにユーザーは所属することになります。
DRMの問題
DRMは基本的に- 誰が
- どういった電子書籍を購入して
- その中の、どの電子書籍を
- 所有しているどの端末に
- ダウンロードしているか
ユーザー視点からすると、Kindleストアで購入した電子書籍をReaderで読みたいとか、逆にReaderStoreで購入した電子書籍をKindle Paperwhiteで読みたいという要望があると思います。
各電子書籍書店がDRMを統一した場合どうなるでしょう? DRMが管理する情報は
- 誰が
- 「どの電子書籍書店で」
- どういった電子書籍を購入して
- その中の、どの電子書籍を
- 所有しているどの端末に
- ダウンロードしているか
DRMを統一した場合、この情報を管理するところに情報が集約されますので、DRMの情報を管理しているところに電子書籍販売の主導権が集まります。例えば、amazonのDRMに統一した場合、amazonがDRM情報を管理することになるため、他の電子書籍書店より有利に電子書籍を販売することができます。
amazonやSONY、楽天kobo等は電子書籍端末を発売しており、それぞれの電子書籍書店サービスを利用する前提になっています。ユーザーの囲い込みを行い、電子書籍書店だけでなく、電子書籍端末などの製品、サービス主体会社のサービスを総合的に利用してもらうことでビジネスを行なっています。電子書籍書店のサービスにユーザーが所属する形になります。
本当にユーザーのためのサービスを期待
DRMの統一化はユーザーの囲い込みができなくなり、DRMを管理している電子書籍書店が有利になるため、しばらくはDRMの統一化は無いと思われます。ユーザー視点から見た場合、ReaderStoreでは売っているけどKindleストアには売っていないという状態は、せっかくKindle Paperwhiteを買ったのに読みたい本が無いことにつながり、そのうちKindle Paperwhiteがホコリをかぶってしまわれてしまい、電子書籍が広がらないということになるのではないでしょうか?
SONYのReaderの設定メニューには紀伊國屋書店BookWebPlusへのリンクがあり、Reader端末から紀伊國屋書店BookWebPlusで電子書籍を直接購入ができ、電子書籍をReaderにダウンロードができます。
紀伊国屋書店へのリンク
SONYと紀伊國屋書店の取り組みはReaderの端末のみですが、この様なサービスが今後、電子書籍が普及していく上で必要であるとガイドは考えています。