鉄道/エリア別の鉄道旅行

首都圏の小さな鉄道めぐり(3ページ目)

首都圏の鉄道というと、昼間でも10両以上の長大編成の列車が頻繁に走る路線というイメージがある。ところが、中には短い編成の列車が単線の線路をのんびり走っている地方のローカル線と大差ない路線が存在する。ここでは、そうしたエアポケットのような「意外な」小さな鉄道を訪ねてみたい。首都圏在住の人なら、時間も運賃も大してかけずに乗りに行くことが出来るだろう。ちょっとした散策におススメの手頃な路線でもある。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

首都圏では珍しいディーゼルカーが走る関東鉄道竜ケ崎線

竜ヶ崎線列車

広々した田園地帯を走る竜ヶ崎線列車

取手の先、土浦方面へ向う常磐線の中距離電車に乗って、上野から約50分で佐貫に着く。ここから出ているミニ路線が関東鉄道竜ケ崎線だ。終点竜ケ崎までの中間駅は入地(いれじ)のみ。乗車時間は7分だ。全線単線で架線が張られていない。つまり動力は電気ではなく、たった1両のディーゼルカーが走るという首都圏では珍しい路線だ。しかも、途中駅の入地は線路一本、ホーム一面だけで列車すれ違いが出来ない。1両のディーゼルカーが行ったり来たりしているだけなのである。

運転台

車両の右側にある運転台

佐貫駅のホームは進行方向右側、入地も竜ケ崎も右側である。日本の鉄道車両は左側通行で運転台は左側にあるのが通例だが、それではワンマン運転の竜ケ崎線の場合、運転士が安全確認をするのに不便である。したがって、竜ケ崎へ向けて走る時の運転台は車両右側に設置されている。これは大変珍しいことである。

 

電化されておらずディーゼルカーなのに、改札は自動改札でSuica、PASMOが使えるとは進んでいる。佐貫の住宅地を抜けると、広々した田園地帯を快走する。短い距離なので、最前部で前面展望を楽しむのも面白い。非電化路線なので架線も電柱もなく、開放感のある広々した空を眺めることができるのが心地よい。

キハ532形

車両基地の脇を走るキハ532形。走る日はサイトで案内される

竜ケ崎駅に隣接して小さな車両基地があるが、これはショッピングセンターに直接つながる歩道橋から俯瞰できる。その周辺には郊外型レストランもいくつかあるので、昼食には困らない。さらに歩いていくと、龍ケ崎市歴史民俗資料館がある。様々な展示が興味深いが、屋外には、かつて竜ケ崎線で活躍した蒸気機関車が展示されているので、鉄道ファン必見だ。

蒸気機関車

歴史民族資料館に展示されている蒸気機関車

■関東鉄道竜ケ崎線
佐貫~竜ケ崎、片道210円
昼間は約30分毎
関東鉄道公式サイト:http://www.kantetsu.co.jp/train/train_index.html

■龍ケ崎市歴史民俗資料館
URL:http://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/view.php?pageId=1936
月曜休館

首都圏には、ほかにも小さな路線が存在するが、このような知る人ぞ知る路線を訪ねて沿線を乗り歩くのも新たな発見があって楽しいものである。時には、慌ただしい日常を離れてリフレッシュしてみることを勧めたい。
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