相続人全員が入っていない遺産分割協議
どういう遺産分割協議が無効になってしまうのか?
ただし極希ではありますが、分割協議後に生存が確認され、失踪宣告が取り消されたり、死亡後に認知されることがあります。そのような場合には、分割協議は無効にはなりません。
失踪宣告の取消を受けた人は、他の相続人に対し、現に利益を受けている限度において、その返還を求めることができます。一方、認知によって相続人となった人は、価額のみによる支払請求ができるだけです。
重要な遺産が漏れている場合
遺産の一部が漏れたまま遺産分割協議がなされた場合も無効になります。漏れていた財産が重要で、相続人がその遺産のあることを知っていたら、このような遺産分割はなされなかったであろうと考えられ、遺産分割をやり直す方が公平であると考えられるときには、分割協議は無効になります。しかし、遺産全体からすれば、漏れていた遺産がごく一部であって、当初の分割協議を無効とするまでの必要がないときは、未分割遺産のみを分割することもできます。
分割協議後に遺言が発見された場合
分割協議の後に遺言が発見されることがあります。このような場合は、基本的に分割協議よりも遺言が優先されます。従って、ある者に遺産の全てを遺贈(遺言で遺産を渡すこと)しているときは、分割協議の対象財産が存在しないことになるため、分割協議は無効になります。また、例えば自宅の土地・建物を遺贈するという特定遺贈がなされていた場合にも、遺言の効力発生と同時に受遺者(遺言で財産をもらう人)がその財産を取得することになります。従って、その財産についても分割協議は無効になります。
遺産分割協議が無効にならないために
前述の通り、相続人が欠けていている場合や重要な財産が漏れている場合、遺産分割協議後に遺言が発見された場合には、遺産分割協議は無効になってしまいます。では、どうしたらいいのでしょうか? 相続人は、被相続人の出生からの戸籍で確認します。重要な財産については、相続財産チェックリストで確認してください。遺言については、公正証書になっていれば、最寄りの公証役場で遺言の有無の確認ができます。これらを十分確認をした上で、遺産分割協議を行ないましょう。
【関連記事】
・ 相続の基礎「遺産分割」とは?
・ 遺言があっても遺産分割協議はできるのか?
・ 相続財産チェックリスト