渋谷で見る岡本太郎作品・『明日の神話』
JR線と京王井の頭線を結ぶ、渋谷マークシティ内の連絡通路を歩いていると突如として現れる大きな壁画。岡本太郎の『明日の神話』です。縦5.5メートル、横30メートルの巨大壁画は1960年代、メキシコのホテルオーナーの依頼から岡本太郎は制作を開始しました。ところが、オーナーの経営状況が悪化し、ホテルは未完成のまま放置。行き場を無くした「明日の神話」も、行方が分からなくなっていました。
そして、2003年9月。メキシコシティ郊外の資材置き場で「明日の神話」は発見されたのです。その後、岡本太郎の養女だった故・岡本敏子が壁画再生プロジェクトを発足。現在、渋谷駅に恒久設置されています。
「明日の神話」は、原子爆弾が炸裂する瞬間を描いたもの。強烈な破壊力の下で、すべては無惨に燃え上がり、生きとし生けるものは逃げ出そうとする。ところが、この世で最も悲惨な瞬間を描いているはずの「明日の神話」には、不思議な力強さが充満しているのです。どんなに凄惨な状況で、自らは無力でも、なお生きようとする者。その姿は高貴で、恐ろしく、エネルギーそのもののように感じます。
東日本大震災を経て、改めてこの作品に対峙するとき、きっと何かを感じられるのではないかと思っています。
■岡本太郎 壁画「明日の神話」
http://www.1101.com/asunoshinwa/asunoshinwa.html
場所:渋谷マークシティ内の連絡通路
※JR線と京王井の頭線を結ぶ通路にあります。
渋谷マークシティ
住所:東京都渋谷区道玄坂1丁目12-3
Tel:03-3780-6503
地図:Yahoo!地図情報