ジパング編成の車内
4両編成のうち、中間の2号車と3号車は、外観の形状にたがわず、従来の特急電車の車内と同じ、通路をはさんで2人掛けシートが並んでいる。「ジパング編成」は特急ではなく、快速電車として運行されることを勘案すれば、お得な設備と言えるだろう。ユニークなのは、両端の1号車と4号車だ。客室のシートは、すべて窓側を向いている。大柄の人だと、足が充分延ばせず窮屈かもしれない。その場合は、シートを若干左右にずらすことができるので、そうした調整で少しは足を延ばすスペースが確保できそうだ。シートは二人掛けなので、見知らぬ人同士が相席となった場合は、了解しあうことが必要だろう。
窓の前には木製のテーブルが設置され、広すぎず狭すぎずといったところ。両端に窪みがあるのは、ドリンクを置く位置を想定している。窓上の壁は木目調のもので和のテイストに満ちている。網棚がないので荷物置き場に苦労しそうだ。ちょっとした軽装のバッグなら窓と窓の間にあるフックに吊るせそうだ。
客室内中央の通路部分は、赤い帯に塗られている。この赤は伝統工芸「秀衡塗り」の色合いをイメージしている。帯の中央には黒い正方形が連なっていて、よいアクセントだ。
運転台のすぐ後ろはガラス張りで、絶好の展望席になっている。簡素なシートが8席あり、これは誰でも利用できる自由席だ。座り心地がイマイチなのは、多くの人が交代で利用できるよう長居をさせないための工夫だろうか。それでも前面展望かぶりつきは病みつきになるほど魅力的である。
ユニークなのは、ドアから入ったところにあるデッキ部分だ。客室へ至るまでのスペースが広く、窓はなくギャラリーになっている。しかもマルチスクリーン。博物館やEXPOなどの展示スペース風だ。映像は平泉をはじめ、東北各地の観光案内ビデオを流している。立ち止まって眺める人は多くはなさそうだが、車内がすべて自由席となる列車で観光シーズンのピーク時で席にありつけない場合には、ここに立って暇つぶしをする人が出てくるかもしれない。客室への出入り口の両脇の壁は漆塗り風のデザインで落ち着いた雰囲気を醸し出している。