スキャンノートは、デジタル対応ノートの次の段階
手書き文字のデジタル化は人類の夢なのか、と思ってしまいそうなくらい、もう随分前からさまざまな試みが成されています。そして、その試みは、デスクトップでよければScanSnapが、モバイル利用でもSHOT NOTEやカイバー・スマートペンが、ある程度の成果を上げています。実用に耐えるレベルに達したと言っても良いかもしれません。キングジムの「スキャンノート」は、そんな手書き文字のデジタル化が実用化した状況の、次の段階を促すノートですが、続々と現れる「デジタル化のための新しい技術を搭載したノート」の中にあると、まるで時代を逆行したかのように見えてしまいます。実際、「スキャンノート」には、凄い機能は搭載されていません。ただ、ページを切り離しやすいだけのノートです。少しだけ、それに工夫も加えられていますが、基本的には、普通の価格の普通のノートなのです。
その「普通」が、この「スキャンノート」の最も重要なポイント。普通にノートとして使えて、デジタル化したいと思ったら、切り離してスキャンする事が「普通」にできる、つまり、スキャンする事もノートの普通の使い方のひとつになりました。
大人のA5方眼罫、学生のB5横罫
ラインアップは、A5サイズとB5サイズ、それぞれに方眼罫と横罫が用意されています。ガイド納富が、「スキャンノート」を買いに行った店では、A5の方眼罫とB5の横罫だけが置いてありましたが、それはそれで、理にかなった置き方というか、ビジネス用途にはA5方眼罫が便利ですし、学生さんにはB5横罫が扱いやすいということなのだな、と感心しました。30枚+扉紙という構成も、扉紙以外は普通ですし、紙の質も、万年筆よりボールペンや鉛筆の方が書きやすいもの。スキャンする事を考えると、低粘度油性ボールペンかフリクションボールが向いています。このフリクションボールも、もしかすると学生向けに鉛筆に取って代わる筆記具かも知れません。切り離せるノートに消せるボールペンで書く、というのは、少し先の未来の普通の景色のように思います。
表紙デザインも、特に仕事ができそうなビジネスマン御用達風ではなく、どちらかというと学生寄りの汎用品といった趣。切り離すとA5になるのではなく、普通にA5サイズのノートで、そのノドから約1cmくらいの所から切り離せるようになっているあたりも、ビジネス仕様というよりも、単に切り取れるノート、といった感じです。あくまでも主体が「ノート」にあるのが特徴で、ある意味では、とても気合いが入っていない、リラックスした作りのノートです。そして、ガイド納富としては、最近の、機能をギッシリ詰め込んだ文房具と同じように、単機能で、それだけできて、後は気楽に使えて安価、といった文房具も、とても良いものだと思っています。
次のページではデジタル用のちょっとした工夫をご紹介します。