ケイク・オ・フリュイ(1800円)
ショーケースの右手の方に並ぶのは、ホールサイズのパウンドケーク類。5種類ほどでスタートしますが、ケークに対して人一倍思い入れが深い和泉シェフ。型もオリジナル特注品で、23cm×4.5cm四方というかなり細長い形。これは単に見た目がスタイリッシュということではなく、きちんと意味があります。ケークは、水分を抜かずにいかに早く焼くか、熱で乾燥させないよう早く冷ますかが大事。そのために必要な道具や機械類も研究してきた和泉シェフの結論が、火通りが早く焼く時間が通常の半分程度ですむというこの型だったのです。抜きやすいよう、型の角にも丸みを出すといった細やかな点にもこだわったそうです。また、よく、フルーツケーク用の漬け込みフルーツは、長期間漬け込んだものを使いますが、和泉シェフはあえて浅めに、5日間くらい漬けこんだらすぐに使うそうです。アプリコットやペッシュ(桃)、ポワール、プルーン、フィグ、レーズン、アーモンド、クルミなど、それぞれ吟味して厳選されたフルーツやナッツの風味を活かしつつ、スパイスの香りもほどよくなじんだ頃合い。焼いた後は、キルシュのシロップをたっぷりとかけ、ラップで包んで4-5日冷蔵庫で寝かせ、味をなじませた状態のものが販売されます。
これらのケーク類や、フィナンシェなどのドゥミセック(半生菓子)類には、一般にはよく使われるエージレスと呼ばれる乾燥剤も入れないとのこと。そのため賞味期限が短いのですが、これも、できるだけ焼きたてのフレッシュなものを召し上がっていただきたい、という和泉シェフの思いの表れの一つなのです。
食べてみると、生地が驚くほどしっとり。表面にアプリコットジャムを塗って仕上げていて、全体に甘さもしっかりとあります。細身なのでカットすると小さめサイズですが、フルーツ類の味や香りもたっぷり感じられ、充分に満足感が得られます。
カシスのジャムとマロン入り生地の焼き上がりにカシスのシロップをたっぷりしみこませ、カシス色のフォンダンでデコレーションした「ケイク・ルージュ」(1800円)も、ぜひチェックしたい和泉シェフのスペシャリテの一つです。
お店のテーマカラーは、白と綺麗なグリーンに、シルバーと焦げ茶が差し色に入った明るい雰囲気です。当初、「黒」が基調のスタイリッシュなデザイン案もあったそうですが、より街並にとけこんだ、入りやすい雰囲気となっています。
入口のドアが開くと、まずガラス越しに作業台が目の前にあり、厨房の中が包み隠さず見えるのもインパクト大。手際よくお菓子を作っている和泉シェフやスタッフの方々を目の当たりにして、思わずその手に見入ってしまいそうですね。
イートインも6席設けられ、オープン後1ヶ月くらいして落ち着いたら、利用できる予定だそうです。そうそう、店内には、照明の演出で、「*アステリスク」が隠れている部分もありますので、探してみてくださいね。
ケーキも焼き菓子も、どんどん新しく種類が増えていくことでしょう。「アステリスク」の今後に注目です!
<ショップデータ>
「ASTERISQUE」(アステリスク)
ホームページ http://www.asterisque-izumi.com/
住所:東京都渋谷区上原1-26-16 タマテクノビル1F
電話:03-6416-8080
営業時間:10時~20時
定休日:月曜
※オープニング後の営業時間
2012年5月5日/6日 11:00~18:00
2012年5月7日 定休日
2012年5月8日以降 通常営業