相続・相続税/相続税の計算方法

遺贈で財産を取得した場合の相続税はどうなる?(2ページ目)

遺言で遺産の全部または一部を与えることを「遺贈」といいます。一般的に「遺贈」というと相続人以外の者に対するものを指します。では遺贈で取得した財産は相続税の対象となるでしょうか?

執筆者:加藤 昌男

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相続税申告における遺贈の主な注意点

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遺贈で財産を取得したときの相続税の注意点は?

相続税申告における遺贈(相続人以外の人が遺言により取得)の主な注意点をまとめました。

小規模宅地等の特例 
小規模宅地等の特例は、取得者が要件を満たす「親族」なら適用を受けられます。つまり相続人でなくてもいい訳です。

生命保険金の非課税
適用対象者が相続人に限定されています。従って、相続人以外の人が生命保険金を受取っても適用がありません。

生前贈与加算
生前贈与加算とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を遺産に加えて相続税を計算するものです。従って、遺贈により取得した人も対象になります。

なお、生前贈与加算の対象になった贈与財産に贈与税が課されている場合には、その贈与税は相続税から控除されます(贈与税額控除)。これにより贈与税と相続税の2重課税を解消します。

債務控除
包括遺贈の場合には、相続人と同様に債務も承継しますので適用があります。

一方、特定遺贈の場合には適用がありません。しかし、葬式費用については、特別扱いで費用を負担していれば、その費用のみ債務控除できます。

相続税額の2割加算
一親等の血族(子、親)及び配偶者以外の人は、相続税額の2割を加算されます。

未成年者控除・障害者控除
対象者が法定相続人に限定されていますので適用がありません。

相次相続控除
被相続人が相続開始前10年以内に「相続」で遺産を取得して相続税を負担している場合には、その相続税の一定部分が「相続人」の相続税額から控除されるものです。従って、相続人ではない人には適用がありません。

遺贈の場合は名義変更の際にも費用がかかる

遺贈の場合、相続税の他に、遺贈で取得した不動産の名義変更(所有権の移転登記)をする際に登録免許税が、特定遺贈の場合には不動産取得税がかかります(いずれも固定資産税評価額より算出します)。

固定資産税評価額
土地(宅地):2300万円(※)
家屋:250万円

登録免許税
(2300万円+250万円)×2%=51万円

不動産取得税
(2300万円×1/2+250万円)×3%=42万円

Aさんのトータルの負担は、相続税が212万円、名義変更の際の税金が93万円になります。これに相続税の申告を税理士に、名義変更を司法書士に依頼することこれらの費用もかかることになるわけです。

(※)路線価は公示価格のおよそ8割、固定資産税評価額は公示価格のおよそ7割とされる。今回の例は路線価での評価が2600万円のため、固定資産税評価額を2600万円×7/8=約2300万円と仮定。

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