遺贈で取得した財産は相続税の対象?

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遺贈で取得した財産には相続税の対象に

被相続人(亡くなった人)の介護をしていたAさん(被相続人の親族ではない)は、被相続人から遺言で空き家になっていた家1軒(土地・家屋)をもらいました。

このように遺言で遺産の全部または一部を与えることを「遺贈」といいます。遺贈には“相続人に対するもの”と“相続人以外の者に対するもの”がありますが、一般的に「遺贈」というと相続人以外の者に対するものを指します(詳しくは相続人以外へも遺産贈与できる、遺贈って何?も参照)。

遺贈により取得した財産は、相続税の課税対象になりま。よく「他人だから贈与税ではないの?」と聞かれますが、贈与税ではありません。贈与税は、生きている人から取得したときにかかる税金です。

ではAさんのケースで相続税がどうなるか確認しておきましょう。

Aさんの相続税の課税価格を計算

まずはAさんの相続税の課税価格を確認しましょう。

土地の価額
路線価が1平米20万円で130平米ありました。
⇒20万円/平米×130平米=2600万円(土地の価額)

家屋の価額
建物の固定資産税評価額は250万円でした。相続税の評価も固定資産税評価を使います。
⇒250万円(家屋の価額)

生前贈与分
Aさんは被相続人から前年に150万円の贈与を受けていました。遺贈により財産を取得した人も相続開始前3年以内に受けた贈与財産を相続税の計算に加えなければいけません。これを「生前贈与加算」といいます。
⇒150万円(生前贈与加算)

Aさんの相続税の課税価格
2600万円+250万円+150万円=3000万円

以上より、Aさんの課税価格は3000万円であることが分かります。

Aさんの相続税額を計算 

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相続税額の計算方法は?

相続税は、相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額(純資産額)で計算します。従って、他の取得者が取得した財産の価額も合わせて計算しなければいけません。

他の取得者は、唯一の法定相続人であるBさん(相続税の課税価格:7000万円)だけでした。

相続税の申告は必要か?
3000万円+7000万円=1億円(課税価格合計額)>3600万円(基礎控除額 ※3000万円+600万円×1人)
AさんとBさんの課税価格の合計額が1億円で、相続税の基礎控除3600万円を超えています。
⇒従って、AさんとBさんは相続税の申告が必要になります。

AさんとBさんの相続税額はいくら?
1億円-3600万円=6400万円
6400万円×30%(税率)-700万円(控除額)=1220万円
⇒AさんとBさんの相続税の総額は1220万円となります。

■Aさんの相続税額はいくら?
2人の合計の相続税(相続税の総額)は1220万円です。ではAさんの相続税はいくらでしょうか? まず、相続税の総額を取得割合(課税価格合計額に対するAさんの課税価格)で按分してAさんの相続税を算出します。

1220万円×3000万円/1億円=366万円(相続税額)
⇒Aさんの相続税額は366万円となりました。

さらに相続税の2割加算、贈与税額控除を考慮

■相続税の2割加算を反映
この相続税額に、取得者の個別事情を反映させます。Aさんの場合は、被相続人の一親等の血族(子、代襲相続の孫、親)及び配偶者以外ですので、2割加算する必要があります(「相続税額の2割加算」)。

⇒366万円+366万円×20%=439万2000円

■贈与税額控除を反映
次に、贈与を受けたときに贈与税が課されていますので、その贈与税額を控除します。これを贈与税額控除といいます。
(150万円-110万円(控除額))×10%(税率)=4万円(贈与税額)
439万2000円-4万円=435万2000円(納付すべき相続税額)

⇒Aさんの納付すべき相続税額は435万2000円となりました。

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