中国の銀行は配当が増え続ける可能性が高い
マクロの中国の経済数字は伸び続けているので、それに合わせてマネー量も増えており、中国経済を循環する血流に乗って4大銀行は成長します。それに合わせて毎年増配ともなっています。日本のメガバンク3行合わせた配当総額はここ数年3000億~4000億円台で推移しています。増配がないかわりに、リーマン・ショック後のような赤字の年でも配当を維持しているという特長があります。一方で日本の金融機関はというと、今後日本人の貯蓄総額が1500兆円から増えることはありません。もう数年すると老後世代の急増と労働人口減少加速により、確実に貯蓄の取り崩し段階に入り、総貯蓄は1500兆円をピークに下がり続けることになります。そうなれば当然日本のメガバンクに増配の芽は出てきません。ファンディングコストが増加する一方で、貸出の方は経済縮小によって条件が厳しくなるからです。
一方、中国の大手銀行は一行あたりで日本のメガバンク3行の配当額を足したもの(2010年4415億円)よりうんと大きな配当額を支払っています。最大手の工商銀行一行で2010年は7700億円、農業銀行6250億円、建設銀行5665億円、中国銀行4890億円です。4行合わせて2010年は2兆4500億円もの配当が投資家に支払われました。しかも中国の銀行の場合は上場来で毎年配当が増えており、今後も何らかのショック時を除いては基本的に増配が続くでしょう。
為替の点から見ても、将来的な人民元高も追い風に
そしてもう一つ重要なことは通貨です。外国株を買う上ではどうしても外貨建てとなりますし、配当も外貨です。特に長期スパンであれば、為替が半分になったり倍になったりすることはよくあることですので、将来的に強くなる通貨を持っている国の株を買うことが重要になってきます。中国の人民元は管理フロート制を採用しながらも、輸出競争力を保つために中国政府によって厳しく管理されている状態で、割安な状態が維持されています。購買力平価の観点から考えても、人民元は現在の2倍程度に切り上がってもおかしくない水準です。
しかし、中国はアジア通貨危機や日本の80年代のバブルやその後の経済衰退の大きな原因が為替を自由化したことだと言うことを非常に良く研究しており、おいそれと自由化しません。今後も年間1~3%程度の切り上げを続けていくのだと思います。しかし、仮に1~3%であったとしても、20年後、30年後まで視野にいれればかなりの上昇幅になるはずです。
一方、日本円はこれまでは高値が続いていましたが、今後、長期的には下がっていく可能性が高いように思われます。つまり、為替の観点からも配当は増え続けていく可能性が高いと思います。