小規模宅地の特例の改正でもっと増加!
小規模宅地等の適用範囲の縮小と申告必要・納税不要を含めると
本来なら平成23年12月頃に、平成22年分の申告割合が発表されます。しかし、震災の影響で申告期限を延長したため、未だ発表されていません。発表されると、きっと申告割合が増えていると思います。そうなると、改正後の申告割合ももっと増えてしまいます。
小規模宅地等の特例とは、被相続人等の事業用・居住用に使われていた宅地等について、財産評価上、高額な減額が認められているものです。これらの宅地等に他の財産と同じように課税したのでは、事業や居住を継続できなくなってしまう恐れがあるために設けられた制度です。具体的には、被相続人の自宅の敷地であれば、240平米まで80%減額が受けられます。
小規模宅地等の特例の適用範囲の縮小とは、被相続人の自宅の敷地については、別居の持家の子は、被相続人の自宅を居住継続しないため、この特例の適用が全く受けられなくなりました。改正前は、「被相続人の自宅だった」というだけで、一部適用が受けられていました。
納税なくても申告が必要な人も
前述の申告割合は、相続税の申告をし、かつ、納税した人が対象です。しかし、下記事例のように、申告は必要ですが、小規模宅地等の特例の特例を受けると税額がなくなる人もいます。これらの人は、前述の申告件数に含まれていないため、これらの人も加えると申告割合は確実に増えます。■申告は必要だが納税なしの事例(法定相続人3人)
●相続税の申告は必要か?
・自宅敷地 路線価40万円/平米×100平米=4000万円
・自宅建物 200万円(固定資産税評価額)
・預貯金 2000万円
・債務・葬式費用 ▲200万円
・純資産6000万円 > 改正後の基礎控除額4800万円 → 相続税の申告必要
●小規模宅地の特例を考慮
40万円/平米×80%×100平米=3200万円
6000万円-3200万円=課税価格2800万円 >= 4800万円 → 納税不要
小規模宅地の特例の適用範囲の縮小と申告必要・納税不要のケースも含めると申告が必要な割合は、東京国税局管内で2割になるかもしれません。納税が必要な人は、節税を検討するといいでしょう。申告だけが必要な人は、申告だけでも手間がかかりますので、申告不要になるように財産を減らしておきましょう。