過敏性腸症候群(IBS)の検査・診断方法
過敏性腸症候群による便秘、下痢などの症状を改善するためには、食生活も重要です。
腸の中に潰瘍やがんなどの病気がないことを確認し、その上で過去3ヵ月の中の1ヶ月につき、少なくと3日以上腹痛や腹部の不快感などがあった場合、過敏性腸症候群と診断できます。
下痢や便秘、腹部不快感を起こす病気があるかどうかを具体的に確認するためには、大腸内視鏡検査や、大腸バリウム検査などを行います。とはいえ、下痢や便秘の症状があるすべての患者さんに、これらの検査をするわけではもちろんありません。一般的な問診、診察、血液検査などを行なった上で、検査の必要性を絞り込んでいきます。
- 急激に発症した、あるいは急速に症状が憎悪した
- 貧血の症状がある
- 予期しない体重減少があった
- 血便がある
- 発熱がある
- 以前に胃や大腸の悪性腫瘍の既往がある
- 年齢が50歳以上である
上記の検査でも異常がないのに、
- 排便により症状が軽減する
- 排便回数が変化する
- ウサギのふんのように黒くコロコロとするなど、便の見た目が変化する
過敏性腸症候群(IBS)の治療法
過敏性腸症候群の症状は精神的なストレス、生活の乱れによって引き起こされることが多いため、症状を改善するためにはこれらの要因の解消が基本となります。過敏性腸症候群の症状はゆっくり改善することが多く、よくなってきたと実感するのに何ヶ月もかかることもしばしばです。根気強く治療をしていく必要があります。
腸管はストレスに反応しやすくなっているため、食事を規則正しくとり、繊維質を多く摂取し、必要に応じて薬を使用することによって、症状を著明に改善させることができます。
過敏性腸症候群(IBS)の薬物治療
薬物治療は症状を和らげることはできますが、あくまでも生活指導や心身医学的治療の補助的な手段として使われます。しかしそうは言っても、症状がつらくて患者さんは病院、クリニックに来院されますので、少しでも楽になるという意味でも、薬物治療は重要だと考えています。具体的にどのような治療法があるか、述べていきます。■整腸剤・下痢止め
軽症の場合は、腸の働きを整える整腸剤や消化管機能調整剤で治療します。下痢の症状が強い時には下痢止めを使うこともあります。便秘が続く場合は、便を柔らかくする薬や大腸を刺激して排便を促す下剤などを用いることがあります。
■不安などの精神症状改善の薬
ストレスや不安を和らげ、精神症状の改善を図るうえで、抗うつ剤や抗不安薬が有効な場合があります。 最近、セロトニン受容体拮抗薬という新しい薬が男性の下痢型の過敏性腸症候群に対して使われるようになりました。セロトニンは腸を動かし下痢を起こすホルモンで、このセロトニンを阻害し、下痢を起こさせない薬です。この薬は整腸剤、便を硬くする薬などが効かない方にも効果があります。ただし、現時点では女性に対して使用することはできません。
過敏性腸症候群(IBS)の予防法
過敏性腸症候群はストレス、生活の乱れが誘因となるため、それらの要素を取り除いてあげることによって、予防できることもあります。暴飲暴食、喫煙、アルコールの多量摂取を避け、食生活の改善および生活習慣の改善を行います。アルコールは腸の粘膜をむくませ、下痢を引き起こしやすくなります。アルコール以外では、カフェインや乳製品も過敏性腸症候群の症状を悪化させることがあります。コーヒー、紅茶、チョコレートなどはカフェインが含まれていますので、過剰に摂取しないほうがいいですね。チーズや牛乳といった乳製品は、人によっては下痢や便秘を引き起こします。牛乳を飲むと下痢をしてしまうという方はやはり摂取を控えましょう。
摂取した方がよいものとしては、ビタミンとミネラルはストレスに対する効果を期待できますので重要。また腸の働きを良くするために食物繊維も有効です。
また、ニコチンは過敏性腸症候群の症状を悪化させることがあるので、タバコを吸う人は注意が必要です。
あまりストレスを抱え込まないよう、できることから少しずつ改善して、症状からの回復を目指しましょう。