古民家/古民家探訪

築70年古民家のビフォーアフター[新井薬師の家]

再建築不可という条件をプラスにとらえて、築70年の古民家に住み続けることを選択した若夫婦と、快適な日常生活を営むための設計を託された敏腕インテリアデザイナーによる、昭和の雰囲気を残したリノベーションです。

執筆者:川畑 博哉

今から6年前、「とにかく古い家の雰囲気が好き」という30代の夫婦が探し当てた格安の古民家は、中野の住宅街の路地の奥のさらに奥にある、築70年の庭付きの木造二階建てでした。しかしその後一家に待っていたのは、古い家につきものの隙間風や底冷えに悩まされ、生い茂った庭の木々は陽射しをさえぎり、広い1階は水廻り以外使うことなく、日常のほとんどを上階の6畳間で過ごすという不便さをかかえての生活でした。

そんなとき目にしたのが、フリーライター小森知佳さんの自宅改修体験記『辛酸リノベーション』。この本で小森邸の改修を請け負ったインテリアデザイナーの関洋さんを知り、さっそく相談をもちかけたのです。それから半年後、若夫婦の家は古民家のテイストはほぼそのままに、しかし内部は驚きの変身をとげていました。

角地のさらに奥に佇む古民家

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外観
1. 断熱材を入れてサイディングで覆った1階の外壁。
2. 庭からの眺め。庭木と寄り添うようにして建つ。
3. 庭側には新たにアルミサッシュを入れた。コンクリートの土間がそのままテラスに繋がる。
4. 庭に張り出したコンクリートのテラス。幅4m奥行き3mで約4坪の広さがある。
5. 改修前は生い茂る庭木が1階の日当りを妨げていた。


中野の緑の多い住宅街の路地の角から敷石づたいに細い路地を行くと、古い木造のアパートの奥に昭和を彷彿とさせる懐かしい木造二階建ての家が現れます。玄関の奥にさらに足を進めると、近隣に囲われた庭が現れます。かつて生いるにまかせて手つかずだった庭には2本の楓だけを残し、高44cmのコンクリートのテラスが造られました。舞台のようなテラスはそのまま母屋に入り込み、土間と一体になっています。梅雨明けのお昼時に木陰でランチをする一家が目に浮かびます。

◆建築家プロフィールと建築データ


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