写真をフィクションとして撮りたい
最近のデジカメは、デジタル一眼レフからケータイに付いてるカメラまで高画質を追求していて、それはよく写ります。一方でフィルターワークやデジタル処理でミニチュア風とかトイカメラ風などの加工も簡単です。それはそれで楽しいのですが、ガイド納富には少し物足りない部分がありました。もっと、嘘っぽいというか、もっと主観的で、もっと物語的な、まるで古い映画のような写真が撮りたいと思っていました。ガイド納富が現在愛用している、オリンパスのデジカメ「E-P2」にベル&ハウエルの25mmレンズを装着したもの
どこかで、個人的には写真をフィクションだと思っていて、だから、あまり現実に近い写真は好きではありません。撮る人の目が見たものを、その人が見たいように切り取るのが写真ならば、その人が紡いだフィクションが写真のはず。さらに、レンズや光の具合で見ているそのままには絶対撮れないわけで、そこにさらにフィクションが重なります。自分でコントロールできる部分とできない部分の融合なわけで、ならばそれは、絵画以上にフィクションであるはずです。
その時思い出したのが、人形作家であり写真家でもある、石塚公昭さんの言葉でした。彼は、過去の文豪やミュージシャン、ダンサーなどの人形を作り、その人形に最適な背景とともに写真撮影を行っているのですが、その際、古い、しかも品質が悪いレンズを使う方が、最新のレンズを使うより人形と背景が融合して、よりリアルに写ると言います。
実際の作品を見ると、そのどこかシャープ過ぎない写真は、まるでそのレンズが作られた時代の空気をそのまま持って来たような出来です。偶々手に入れた、オリンパスのデジカメ「E-P2」にアダプターを付ければ昔のレンズを付けて撮影出来ると知ったガイド納富は、それから、すっかり古いレンズばかりで撮影するようになりました。
映画用16mmカメラのレンズを使う 1
BELL & HOWELL「LUMAX 1inch f1.9」
RJ CAMERA「Cマウント用マウントアダプター」4500円 このマウントアダプターを使って、Cマウントのレンズをデジカメに装着する
まずは、このレンズで撮った作例を。
周辺が黒くなるのは、光量落ちとイメージングサイズの違いによるもの
中央以外の描写が甘いので、人物の輪郭が背景に溶け込むような感じになるのが面白い
光が柔らかく写るので、女性の撮影にも向いている感じ。ちょっと古い外国映画のようなムードになる
田舎の風景。明るいところだと周辺のケラレが目立つが、それもまた面白さにもなる
この、25mm,f1.9というレンズは、かなり大量にあるらしく、中古レンズを扱う店で探せば、25000円から35000円程度で手に入ります。ただ、サイズやデザイン、製作年数は色々です。ガイド納富が持っているものは、ちょっと壊れていて、下を向けると内部のレンズが動いてしまいピントが合わなくなってしまいます。そんな時は、ポンポンとカメラを叩いてやると直るのですが、ちょっと面倒です。その面倒さも面白いので、メインで使い続けていますが。
次のページでも16mmのレンズを紹介します。