古民家/古民家探訪

埼玉・川口に今も残る大正時代の木造洋館

埼玉・川口市に保存・公開されている旧田中家住宅。大正時代に建築された3階建ての洋館は迎賓館としての役目も担っていたそうです。良質な木材をふんだんに使用した室内は、和と洋が融合したまさに和洋折衷のつくり。なかでも、大広間は圧巻です。今回はこの洋館をご紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

堂々たる姿の煉瓦造りの洋館

JR京浜東北線の川口駅の東側、国道122号線沿いに築80年を超える洋館があります。2006(平成18)年3月に国の登録有形文化財に登録された「旧田中家住宅」で、現在、一般公開されています。
外観

迎賓館として建てただけあって、堂々とした佇まいです

この建物は、1923(大正12)年に竣工しました。田中家はもともとこの地で、麦麹味噌の醸造業と、材木商を営んでおり、代々「徳兵衛」を襲名するそうなのですが、この洋館は4代目が建てたものだということです。

力ある設計者と地元の棟梁などによって建築

建物の設計を担当したのは、櫻井忍夫氏。櫻井氏は、宮大工の棟梁のもとで建築を学んだ後、建築事務所などを経て、東京株取引所などの建設に携わりました。独立して2年後に、旧田中家住宅の設計を手がけています。実際の建築には、地元川口の名だたる棟梁をはじめ、多数の職人が参加したという記録が残っているそうです。

煉瓦の壁が重厚な雰囲気

白い窓枠

煉瓦で仕上げられた建物は年月を経ても風合いを感じさせます

建物は木造なのですが、外まわりには煉瓦が使われています。イギリス積みという方法で化粧用に煉瓦を張ってあります。壁がとても厚く、非常に重厚な雰囲気です。また、茶褐色の煉瓦に対し、窓枠、周囲の飾りは白で統一。コントラストが効いていて、引き締まった印象になっています。煉瓦という素材がもつ独特の素朴な風合いは年月を経ても風化することなく、建物は今も美しく保存されていました。

次ページでは、室内を見ていきましょう。

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