鉄道/季節別のおすすめ鉄道旅行

国登録有形文化財となった天竜浜名湖鉄道(3ページ目)

天竜浜名湖鉄道は、2010年12月に全線が国の登録有形文化財となったノスタルジックあふれるローカル鉄道である。東海道本線が有事の際に分断された場合のバイパス線として建設されたという歴史的経緯を持つが、同じ浜名湖でも東海道新幹線から眺めるのとは違ったのどかさが感じられる。湖岸を走り、森を抜け、天竜川を越え変化に富んだ車窓が展開する沿線。駅舎を利用した食事処を巡る楽しみもある魅力あふれる路線である。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

天竜二俣で文化財の車両基地を見学

ターンテーブル

列車を載せて回転するターンテーブル

扇形庫

貴重な木造扇形庫には車両が一杯

天浜線の車窓のハイライトのひとつである天竜川の鉄橋を渡ると、二俣新町。その次が天浜線の拠点駅・天竜二俣だ。古びたホームが二面あり、車両基地も広がる。SL時代からの転車台、扇形庫、木造の事務所と、昔の車両基地の風情がたっぷり味わえる。

転車台は、SL運転が行われている路線を中心に各地に残っているが、木造の扇形庫との組み合わせは貴重な存在だ。

天竜二俣駅

天竜二俣駅の風格ある木造駅舎

週末を中心にディーゼルカーを転車台に載せての回転ショーが行われる。木造扇形庫、併設の鉄道歴史館と合わせて見学したい。折角の歴史的遺産なので、時にはどこからか蒸気機関車を借りてきて転車台に載せてもらいたいと願うのだが、実現しないものだろうか?

■転車台見学ツアー
毎週=金土日月+祝日、10:50~と13:45~の2回。入場料100円(鉄道利用でない場合は200円、小学生以下半額、記念の硬券と台紙がもらえる)

遠州の小京都を経て、終点掛川へ

駅名標

今となっては貴重な駅名標

天竜二俣からは、次第にのどかな田園地帯が続いていく。遠州森は、森の石松で名高く、「遠州の小京都」とも言われる森町の玄関駅。四季の花々、由緒ある寺や神社など落ち着いた佇まいで、サイクリングしながらのんびりまわってみたい町だ。

 

木造駅舎

JR掛川駅は何と木造駅舎

終点の掛川で再び東海道本線と合流する。JR掛川駅は新しい木造駅舎が目を惹くが、何と新幹線の駅でもある。天浜線から新幹線に乗り換えれば、あまりの落差の愕然とする。それだけ、天浜線がのんびりしていたわけで、慌ただしい日常を逃れて旅するローカル線としては、首都圏や名古屋、関西から便利なロケーションに位置し、絶好の沿線であるとも言える。

多彩なイベント列車も

宝くじ号

イベント用の宝くじ号

天浜線は、地元の高校生や通勤客、お年寄りなどの生活路線ではあるが、のんびりした鉄道旅行を楽しめるようにと様々な企画イベント列車やオーダーメイドの貸切列車を走らせている。「懐かしの歌と沿線かたりべ列車」、「ワイン列車」、「クリスマス列車」などユニークな列車が目白押しだが、人気ですぐに満席となるので、予約はお早めに。ともあれ、懐かしさ漂うノスタルジックな魅力が一杯の天浜線である。

<関連サイト>
天竜浜名湖鉄道公式サイト
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