会社員の給与やボーナスからの「天引き」って、どういう意味?
会社員の中には、給料・ボーナスの手取り額しか把握しておらず、天引きされたものについてあまり理解できていない人も少なくないようです。手取り額の範囲で家計をやりくりし、貯蓄もしなければならないのですから、それはそれでいいのですが、天引きされたものの使い道や意味を知っておくことは、世の中に関心を持てるという点では意義のあることだと思います。ボーナスからも、いろいろと天引きされて手取り額が減る
「お上が引く」も間違いではないようですが、どうやら「最初から引く」という意味合いの方が強いようです。そういえば、天引きされるものは「お上」に納めるものばかりではありません。どのようなものが天引きされているのでしょうか。
ボーナスから天引きされるのは税金や各種保険料
給料やボーナスから天引きされるものは、義務的負担とそれ以外にわけられます。義務的負担は下記の通りです。ちなみに、住民税はボーナスから天引きされません。●所得税
ボーナスから天引きされる所得税額は、前月の社会保険料控除後の給料を元に決められます。ボーナス総額に、源泉徴収税額表の「賞与の金額に乗ずべき率」の税率を掛けて算出します。税率は扶養親族等の人数で異なり、0%~45.945%です。
●健康保険料
ボーナス総額から1000円未満を切り捨てた金額に保険料率を掛けて算出します。料率は加入している健康保険によって異なり、協会けんぽ(全国健康保険協会)の料率は都道府県ごとで決められています。東京都の場合、令和4年3月分からは40歳以上11.45%(本人負担は1/2)、40歳未満9.81%(本人負担は1/2)。40歳を境に料率が変わるのは、40歳以上は公的介護保険料が加算されるからです。
●厚生年金保険料
健康保険料と同様、ボーナス総額から1000円未満を切り捨てた金額に保険料率を掛けて算出します。厚生年金保険料率は18.3%(本人負担は1/2)。
●雇用保険料
一般の事業の場合はボーナス総額の0.5%。農林水産・ 清酒製造・建設事業は0.6%。
また、上記の義務的負担以外に、会社が制度を取り入れていれば、次のようなものが天引きされているでしょう。
●財形貯蓄
●社内預金
●会社を通して入っている各種保険料のボーナス払い分
ボーナスから天引きされたお金が、何に使われているか関心を持って
ボーナスの明細書でも、ボーナス支給月の給料明細でも、源泉徴収票でも、何でもいいのですが、普段はスルーしているであろう所得税や健康保険料などといった「義務的負担」の項目と金額をしっかり見つめてみましょう。「えっ、こんなに払っていたんだ」と思いましたか? それとも「なんだ、案外、少ないな」と思いましたか?
そしてどんな項目でいくら払っているかを確認したら、そのお金がどんな使われ方をしているのか考えてみましょう。
ちなみに筆者は会社員ではないので、報酬から天引き(源泉徴収)されるのは所得税だけです。毎年、確定申告で源泉徴収された所得税の一部は還付金という形で戻ってきますが、ほどなく、還付金と同じくらいか多いくらいの国民健康保険料・介護保険料と住民税の請求が来ます。還付金は「一瞬の幻」と消えるわけですね。所得税以外の義務的負担を自ら納めている筆者は、そのお金がどう使われているか、どう使われようとしているのか、とても興味を持っています。
一方、会社員の人は、自ら納める機会がほとんどないゆえに、天引きされているものの使い道や意味について把握されていない、ということが発生するとも考えられます。
義務的負担するお金は、私たちのおサイフから納めています。多くの国民が納得のいく使い方をしてもらうよう、お上の仕事をしっかり見つめていきましょうね。
※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
【参考データ】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r4/ippan/r40213tokyo.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf
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