妊婦さんや授乳中ママがノロウイルスにかかったら?
妊娠・授乳期の方が重症化することはありませんが、自己判断で対処すると症状が悪化することがあります
ノロウイルスは11月から3月頃まで、冬期の感染性胃腸炎、食中毒の主な原因ウイルスです。ヒトに嘔吐、下痢を引き起こしますが、多くは1~2日間で、自然に軽快します。
ごく少量のウイルスで感染することから「感染力が非常に強い」と表現されますが、ウイルスの病原性が強いのではなく、まず重症化はしません。ただし、自己判断で吐き気止めや下痢止めを服用すると症状を悪化、長期化させることがあります。
ノロウイルス感染症の基本情報や、妊娠中・授乳中にかかったときの赤ちゃんへの影響などについてお伝えします。
【目次】
1. ノロウィルスの潜伏期間・症状期間
2. ノロウィルスの感染経路・感染源
3. ノロウイルス感染症の診断
4. ノロウイルス感染症の治療法
5. 妊娠中・授乳中にママがノロウイルスに感染したら
6. ノロウイルスに感染しないための予防策
7.7.妊娠中・授乳中でも飲める感染予防の市販医薬品
1. ノロウィルスの潜伏期間・症状期間
潜伏期間は6~24時間と早く、嘔吐・下痢を4~5回位繰り返します。発症後12時間程度で症状のピークが過ぎ、多くは24時間後には自然に症状が軽快します。嘔吐・下痢が10回以上続く、発症後48時間経っても症状が軽快する気配がない場合には、別の感染症、病気を疑うこともあります。
2. ノロウィルスの感染経路・感染源
感染経路は、飲食物からの食中毒、感染者の吐物・糞便由来の接触感染、飛まつ感染などの経口感染(口からウイルスが入る)で、胃痛・腹痛・微熱・全身倦怠などの症状を伴うこともあり「おなかにくる風邪」と診断される場合もあります。生ガキによる食中毒が有名ですが、海鮮料理やサラダ、野菜サンドイッチなど非加熱食品が感染源のケースがかなりあります。また、魚介類の鍋料理などの際、加熱前の食材に直接触ったお母さんにだけ発症することがあります。妊娠中・授乳仲のお母さんに限らず、この時期は、調理後、食事の前に十分な手洗いが大事です。
家族が発症し、排泄物やおむつ処理、洗濯の際に、お母さんが感染する場合もあります。
3. ノロウイルス感染症の診断
症状と経過から診断します。嘔吐・下痢の症状が比較的軽く、通常の会話ができて、もともと消化器疾患を持っている方や、腹膜炎などの重症所見がなければ、通常はウイルスの検査をすることはありません。お話を聞いて、24時間以内に疑わしい食品を食べたとか、身近に下痢をしている人がいるなどの経過がわかる場合も同様です。4. ノロウイルス感染症の治療法
ノロウイルスに対するワクチンや抗ウイルス薬はありません。抗生物質は無効なばかりか、逆効果で下痢を助長します。また、発症初期に自己判断で吐き気止めや下痢止めを服用すると、ウイルスを排出しようとする身体の防衛反応を邪魔して、症状の長期化、重症化を引き起こします。処方薬の制吐剤(プリンペラン、ナウゼリン)、下痢止め(ロペミン)、市販医薬品の正露丸(大幸薬品他)、ストッパ(ライオン)などを自己判断で使用しないように!
基本的には水分・電解質を補給し、自然回復を待ちます。 常温のスポーツドリンクがお勧めですが、どうしても吐き気が強くて水分補給ができなければ、栄養点滴をすることもあります。 「何か治療を!」と思う方は、まず主治医に相談しましょう。
5. 妊娠中・授乳中にママがノロウイルスに感染したら
妊娠中に発症しても胎児に直接影響しませんが、お母さんの脱水症状が悪化すると胎児に影響しますので、やはり、水分・電解質の補給が最も大事です。授乳中に発症しても、母乳にウイルスが移行しないので、授乳を続けることができます。ただし、十分な手洗い、赤ちゃんの周囲環境の整備が必要です。
6. ノロウイルスに感染しないための予防策
日常の手洗いに泡ハンドソープ、嘔吐物などの汚染処理には塩素系消毒液を
感染者の汚染物処理にはミルトンやハイターなどの塩素系消毒液が必要です。その際は、使い捨てマスクとゴム手袋を使い、処理後に十分な薬用(殺菌・消毒)泡ハンドソープで十分手洗いします。
7.妊娠中・授乳中でも飲める、ノロウイルス感染予防の市販医薬品
妊娠授乳期にもお勧めできる、胃腸の健康管理に役立つ医薬品
妊娠中・授乳中に予防的、日常的に服用して問題ありません。 医療機関でも同種類の似た薬が処方されます。人の腸内で有益に働く乳酸菌(善玉菌)製品を、継続して摂取することも予防になります。
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