約50年以上持たせないと持家は損になる?
例を挙げて考えてみましょう。持家の取得に約3,500万円が必要だと仮定して、35年ローン(ボーナス加算なし)で全期間金利2%として試算すると、毎月の支払額は約11.6万円です。この他に、10年後に200万円、20年後に300万円、30年後に500万円、40年後に500万円のリフォーム等の支出が必要だとすると、実に35年間の支出合計は5,872万円、50年間では6,372万円にも上ります。一方、賃貸の場合は、月額の家賃(共益費、駐車場代等含む)が10万円、2年毎の賃貸契約更新手数料が2ヵ月分だと仮定すると、35年の支出合計は4,540万円、50年なら6,500万円となります。これらの仮定条件で金額だけを比較すると、持家の場合約50年以上住まいを長持ちさせないと、賃貸よりも低コストにならないという計算になってしまいます。
シンプルに暮らす「賃貸」と住空間満足度追求の「持家」
上記の試算では持家の方がお金がかかるという結果でしたが、持家の方がお金がかかっている要因として次のようなものが考えられます。- 持家の方が、賃貸よりも居住床面積が広い傾向にある
- 賃貸の場合、必要最低限の補修(現状維持)リフォームにとどまることが多い
- 持家のリフォームでは、暮らす人に合わせたグレードアップリフォームになることが多い
持家は自由にリフォームできるメリットがあるのですから、自分や家族が望む住まいを手に入れることもできるのです。
賃貸は住まいに対してこだわりが少ないといった場合などに、リーズナブルに暮らすことができるメリットがあり、持家は家族の成長や変化するライフスタイルに合わせて住まいをグレードアップさせることができるというメリットがあるのです。このことから、単純に支出合計だけで優劣をつけることは適切ではないことがわかります。
人の数だけ暮らし方や家に対する考え方も違います。そしてお金をかければより快適で暮らしやすい環境を手に入れる可能性が高まります。今よりも満足度の高いリフォームを実現し住まいを長持ちさせることが持家派の方々にとって非常に重要なことのはず。このリフォームを行き当たりばったりに考えるのではなく、計画的に検討することが、実は一番リーズナブルな暮らし方につながるのではないでしょうか。