無骨さを払拭したインテリアの見栄え質感も素晴らしい

M・ベンツCLSクラス

照明機能の全てにLEDを用いたフルLEDヘッドライトが特徴的な、2代目。サイズは全長4940×全幅1881×全高1416mm、ホイールベースは2874mm。初代(全長4915×全幅1875×全高1430mm)と比べ25mm長くなっている

アッパーミディアムの4ドアサルーンに、常識的に必要とされる機能、すなわち居住性よりもスタイリングを優先する……。メルセデスの伝統において、かつてない、というか信じられないチャレンジを敢行した歴史的モデルが、初代CLSクラスだった。4ドアクーペスタイルを世に問うた、格好いいベンツ。日本でも昔、背の低いサルーンが流行ったけれども、CLSのそれはもっと徹底して格好にこだわっていた。

その挑戦は成功したと言っていい。モデルライフで17万台を全世界で売りさばき、日本はもちろんCLSにとっての大きなマーケットとなって、一躍スリーポインテッドスターの人気モデルとなった。

先だって開催されたパリ国際オートショーでワールドプレミアを迎えた2代目新型CLSクラスは、初代の4ドアクーペコンセプトをもちろん踏襲し、デザイン的にもまたパフォーマンス的にも、さらに進化を果たしている。多くの後追いモデル(パサートCCなど)を生んだ、パイオニアとしての自信と意地だろう。

そのことが最も顕著に現れているのは、やはりスタイリングだ。最初に写真でみたときには、随分と“くどく”なったように思ったもの。初代のあのシンプルでエッジの効いたエレガンスさはどこかに失せてしまって、逆にグラマラスな力強さだけが鼻につく、傲慢な新型。こいつはデザインし過ぎじゃないか。実物を見るまえは、そう思えてならなかった。

カタチは正直、初代の方が良かったなあ、なんて思いつつパリショー、そしてフィレンツェでの試乗会に赴いたわけだったが……。
M・ベンツCLSクラス

リアに向けて下降するフェンダーの上のエッジ(ドロッピングライン)は、往年のメルセデス・スポーツカーのデザインを新たに解釈したデザイン

はっきり言って、写真映り悪過ぎ! これは何もCLSに限ったことじゃなく、最近の高額車では特にその傾向が強い。ラインや面の艶、精度、美しさが二次元では表現しきれないからかも知れない。もしくは、新しさを強調したいがあまりに、アングルやハイライトなどは、顔つきやリアフェンダーまわりを誇張し過ぎる方に振られているのかも。はっきりいって実物は、もっとスマートで美しかった。ビジョンCLSのコンセプトを正しく理解して昇華し、実現していると思う。それでいて初代にはない力強さももちろんあって、ライバルたちとは一線を画する存在感を醸し得た。

ちなみに新型CLSクラスのコンセプトスケッチは37歳の韓国人デザイナーのリーさんが手がけたもの。日本贔屓の彼は、黒いポルシェ993に乗るスーパーカー大好きガイだった。

インテリアの見栄え質感も素晴らしい。SやEの無骨さ(特にモニターまわりの未消化部分)はすっかり消えうせ、先代にも通じるワイドなウィングダッシュボードとデザイナーの目が行き届いたディテール、そして適材適所なマテリアル配置で、外装に負けないエレガントさをもって乗員を包み込んでくれる。4座ともにスペースの余裕ができたのも、新型の魅力のひとつ。
M・ベンツCLSクラス

運転席ドアから助手席ドアまでの高い位置にラインを走らせるラップアラウンドデザインを採用。インテリアは色5種類、トリムデザイン5種類、本革3種類から選択することができる